「あらゆる可能な資源を投入し、生産ラインを増設して休日も昼夜もなく24時間工場を稼働していますが、それでも十分ではありません。顧客からの注文を完全に消化することができず、謝らなければなければならないほどです」

 日本のソニーで半導体部門のトップを務める清水照士氏は最近、ブルームバーグ通信とのインタビューでこのように吐露した。ソニーの核心事業の一つであるCMOSイメージセンサーがあまりに好調だからだ。

 最近、高級スマートフォンの背面にはカメラが3個あるのが主流となっている。カメラのレンズを通して入ってきた光をデジタル信号に変換し、イメージに作り上げる半導体「イメージセンサー」の需要が急増しているのはそのためだ。さらに、スマホメーカー上位のサムスン電子と華為技術(ファーウェイ)は40メガピクセル以上の高解像度の広角カメラを搭載し、画質を競い合っている。アップルも今年の新製品「iPhone 11 Pro(アイフォーン・イレブン・プロ)」で3眼カメラのスマホに参入した。

 アップル、ファーウェイにイメージセンサーを供給していることで知られるソニーが、工場をフル稼働しても注文量をさばききれないのは、このような事情が作用しているわけだ。さらにソニーは日本の長崎県に、2021年上半期の完工を目標にイメージセンサーの生産ラインを増設中だ。完成すればソニーの生産量は現在の月間10万9000個水準から13万8000個まで増加する。

 勢いに乗るソニーは現在51%水準のイメージセンサー(CMOS製品基準)の世界シェアを、2025年までに60%に引き上げるとの目標を最近発表した。今年の最終集計がまとまったわけではないが、すでに数ポイント上昇という成果を出していると清水氏は推測した。

 ソニーが1位の座を固めに入ると、イメージセンサー市場シェア2位で追撃するサムスン電子も歩みを速め始めた。サムスン電子は2030年までにソニーをかわし、イメージセンサー市場で1位に躍り出るとの抱負を明らかにしている。

 サムスン電子は最近、業績発表の電話会議で「注文量に合わせるために生産量を増やしている」とした上で「かなり先までこのような需要が続くだろう」と予想した。業界ではサムスン電子の12インチウェハのファウンドリ(半導体の委託生産)ラインのうち20%以上がイメージセンサーの生産に割り当てられていると推定している。

 サムスン電子はまた、業界で初めて「1億画素」の壁を破り、1億800万画素のモバイルイメージセンサー「ISOCELL Bright HMX」を開発し、今年の下半期に常用化するなど技術でリードすることで追撃態勢を整えている。

 ある業界関係者は「画面を極限まで大きく、縁を極限まで細く、というトレンドに合わせ、カメラもまたスリム化している」として「イメージセンサーもこれに合わせ、小さいながらも高画質を具現できる方式へと技術の進化を重ねているため、両社が切磋琢磨しながら成長できる市場状況だ」と語った。

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