米ホワイトハウスのジョン・ボルトン元国家安保補佐官は防衛費分担金を巡る圧力について「『米国防総省の創意的な会計技術』によればどんな額でも正当化できる」と明らかにした。要するに「伸び縮みするゴムのようなもの」ということだ。それでもトランプ大統領は、韓国に防衛費分担金増額に応じさせるため「在韓米軍撤収」によって脅迫するよう背後で操縦したという。

 本紙はボルトン氏が今月23日(現地時間)に出版する予定の回顧録『それが起こった部屋』の韓半島に関する主要な部分を入手した。この本でボルトン氏は「(トランプ政権と)韓国、日本との関係を難しくする事案は、在韓米軍がどれだけ費用を負担すべきかということだ」と指摘した。トランプ大統領は世界に展開する米軍について「われわれがなぜこれらの国に行かねばならないのか」と尋ねていたという。

 ボルトン氏は「実際のところ米国はどこにでも基地があり、駐留先の国は一定の費用を負担しているが、その額はさまざまで、幾ら負担すべきかについて実際の合意というものはなかった」「米国防総省の創意的な会計技術を適用すれば、ほぼ全ての費用を高くも安くもでき、それを正当化できた」と伝えた。

 2018年の防衛費交渉当時、米国防総省と国務省は韓米防衛費交渉について深く懸念していた。国務省と国防総省は米軍が雇い兵のようにみられるため、それによる費用を請求したいとは考えていなかった。当時からトランプ大統領は防衛費として「駐留経費+50%」という公式を掲げ、相手国からより多くの費用を受け取るよう指示していたという。ボルトン氏は「彼ら(国務省と国防総省)はそんなに多くを受け取ることはできないことも知っていた」と指摘した。

 ボルトン氏は韓国について「安全保障と関連して言えば、米軍が撤収した韓国は想像もできない」「彼ら(韓国)が執拗(しつよう)に分担金引き上げに反対することは、(韓国の安全保障上の)リスクを高めるしかなかった」との見方を示した。幸い当時の防衛費交渉は紆余(うよ)曲折の末に最終妥結にこぎ着けた。しかしこれについてボルトン氏は「米軍が撤収しないための交渉期間を1年もうけたことを意味する」と表現した。

 2019年7月にボルトン氏は、防衛費分担金問題について話し合うため韓国と日本を訪問した。これはボルトン氏がトランプ大統領に要請し、現状を把握するため承認させたものだ。ボルトン氏は最初に日本を訪問した際、日本は現在、防衛費分担金として25億ドル(現在のレートで約2700億円、以下同じ)を負担しているが、トランプ大統領は80億ドル(約8500億円)を望んでいると伝えた。

 その一方でボルトン氏は「トランプだけが幾らで満足するか知っている」「本当の(防衛費の)数字がどのようなものか推測することに意味はなかった」とも指摘した。これはトランプ自らも知らないというのだ。

 ボルトン氏がワシントンに戻った際、トランプ大統領は「分担金増額を勝ち取るため、米軍を撤収させると脅迫せよ」と指示したという。トランプ大統領は「日本から年間80億ドル、韓国から50億ドル(約5300億円)を受け取る方法は、全ての米軍を撤収すると脅迫することだ」「それがあなたを(交渉で)非常に強い立場に立たせる」と述べたという。

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