韓国与党・共に民主党の衛星政党、開かれた民主党の崔康旭(チェ・ガンウク)代表がフェイスブックに投稿した「法務部のお知らせ」と題する声明は秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の補佐陣を通じて流出したことが分かった。

 法務部は9日、秋長官の声明の草案が前日、崔代表のフェイスブックに投稿された経緯について、「2つの文案(草案と修正案)がいずれも公表されるものだと思い、実務担当者が周辺に伝えたものだ」と説明した。長官の捜査指揮に関する内容が補佐陣を通じ、崔代表をはじめとする与党関係者に広まったという趣旨だ。法務部が公務上の機密である長官声明案の流出を事実上認めた形で波紋が予想される。

 法務部の説明によると、前日午後7時20分ごろ、秋長官が声明の草案を作成し、報道官に手渡した。20分後、報道官は声明の修正案を長官に報告。長官は声明を公表するよう指示した。その後、午後7時50分ごろに法務部報道官を通じ、声明が記者に発信された。

 記者に公開された声明の内容は、尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長を念頭に、「総長の提案事項は事実上、捜査チームの交代、変更を含んでおり、文言通りに長官の指示を履行するものとは言えない」というものだった。

 法務部が秋長官の声明を公開してから約2時間後の午後9時50分ごろ、崔代表は自身のフェイスブックに「法務部のお知らせ」と題する文章を投稿した。内容は「法律上の指揮下にある受命者は従う義務があり、それに従うことが指揮権者を尊重することだ。尊重する立場で別の案を示すことは公職者の道理に反する。検事長を含む現在の捜査チームを信頼しない理由はない」というものだった。文体は法務部が通常記者に送る発表文の形式そのままだった。

 崔代表は問題の文章を投稿して30分後に削除し、新たな声明文を掲載。「公職者の道理などの文言が含まれた声明は事実と異なると確認されたため削除した」と説明した。その上で、「法務部はそうした声明を発表しておらず、混乱を招いて申し訳ない」と釈明した。

 法務部も同日午後11時53分ごろ、「声明を準備する過程で内容の一部が国会議員のフェイスブックに掲載されたが、これは法務部の最終的な立場ではなく、文章が掲載された経緯は不明だ」と説明した。

 それを巡って、検察周辺からは「検察・メディアの癒着よりも深刻な法務部と政界の癒着であり、影の実力者が登場した第2の国政介入だ」とする批判が相次ぎ、法務部は「実務担当者のミスで発生した問題」だと改めて説明した。実務担当者が草案と修正案の双方を公表しろという指示だと誤解したという趣旨だ。

 しかし、釈明内容には納得できないとする批判が相次いでいる。陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大教授はフェイスブックを通じ、「長官が2つの文言を渡し、『周辺に伝えろ』と指示したという。話にならない。長官の指示を本当に法務部が知らなかったとすればおかしなことで、法務部も知らない間に草案を公式ルートではない私的なネットワークで流すように言ったとすれば明らかに違法だ」と指摘した。その上で、「配布するならば確定した案だけを配布すべきであり、検討中に捨てられた『仮案』まで一緒に流す理由はない」と主張した。

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