青瓦台政策室長と与党・共に民主党院内代表が昨年、国会で会って本音を打ち明けた。「官僚たちはおかしなことをたくさんする」「政権2周年ではなく、まるで4周年みたいだ」。マイクがオフになっていると思い込んで口にした本音だったが、マイクは実際にはオンになっていた。昨年の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、マイクがついているとは知らずにカナダ首相らがトランプ米大統領を嘲笑(ちょうしょう)した。米議会公聴会では、マイクが切ってあると思い込んで「トランプは頭がおかしくなった」と本音を口にした共和党議員もいた。酔えば本音が出るという意味のラテン語の格言「In vino veritas(真実は酒の中にある)」の言い方を拝借するなら、「真実はマイクのスイッチが切れた(と思い込んだ)後にある」ということになりそうだ。

 共に民主党の陳聲準(チン・ソンジュン)議員が不動産をテーマにした生放送のテレビ討論番組の直後、「そう(政府の対策のように)しても(不動産価格は)下がらないだろう。不動産(価格問題)が昨日、今日のことだろうか」と言った。だが、マイクはオンになっていて、動画投稿・共有サイト「ユーチューブ」の中継は続いていた。陳聲準議員は討論の最中、「7・10(7月10日に発表された)不動産対策が根本的処方だ」と言った。「住宅価格を抑えられる基本的な枠組みを用意した」とも言った。ところが、放送が終わるやいなや、「そんなことやっても住宅価格は下がらない」と言ったのだ。

 テレビ討論番組のタイトル『100分討論』になぞらえ、「99分のニセ討論、1分の真実」という書き込みがあった。「率直な告白」「大統領よりもマシ」という称賛のような皮肉もあった。青瓦台出身の陳聲準議員は国会国土交通委員で、共に民主党戦略企画委員長だ。不動産政策を調整する中核人物が陰で発した本音だけにデタラメには聞こえない。

 複数の住宅を所有する青瓦台の首席秘書官や長官たちは、あらゆる非難を浴びてもピクリともせずに所有住宅を手放さない。今年4月の国会議員総選挙時、「No No 2住宅」国民運動、売買誓約などさまざまなショーをしていた与党議員のうち、40人以上が複数の住宅物件所有者だ。「不動産投機との戦争」が盛んだった時、青瓦台報道官は巨額の銀行ローンを抱えて全財産を投じて「優先分譲権」に投資した。そうして最近になって家を売る時、複数の人々が選挙区にある家を捨てて、(ソウルの高級住宅街)江南の「利口な1棟」を選んだ。言葉は違っても、本音では「不動産不敗」「江南不敗」を強く信じているのだ。

 大統領は「不動産問題には自信があると言い切りたい」「投機との戦争では絶対に負けない」と言ってきた。大統領は陳聲準議員が本音を見せたその日も、国会で「不動産投機ではもはやもうからない」と言った。だが、大統領の言葉、政府の対策を信じる国民はそれほど多くはなさそうだ。その代わりに、高級官僚や与党の中心人物たちが実際に取る個人的な行動や、マイクのスイッチが切れていると思い込んで口にする本音の方に注視している。

イ・ドンフン論説委員

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