今月13日午前11時30分、ソウル西部地検庁舎に保守系野党・未来統合党の郭尚道(クァク・サンド)議員が訪れた。大きな宅配用の段ボールを両手に持っていた。横50センチ、縦40センチ、高さ34センチの段ボールには書類がいっぱいに入っていた。郭議院が直接集めた正義記憶連帯(正義連)・韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)への後援金の内訳と、尹美香(ユン・ミヒャン)元正義連代表の個人口座の現況、尹議員が購入した不動産登記簿謄本、慰安婦被害者・吉元玉(キル・ウォンオク)さんの通帳記載内容などだった。郭議院は「検察による正義連への関連捜査があまりにも進展しないので、(わたしが)入手した資料を検察に提供しにきた。検察が関連する資料を確保しているか疑問に感じたからだ」と説明した。検察による正義連の会計不正および寄付金流用疑惑への捜査が全く進展しないことから、今回の出来事が起こったようだ。

 この捜査は今年5月11日、検察が告発状を受理したことで始まった。ソウル西部地検長が「検察が直接捜査を行う必要がある」と判断し、事件を警察ではなく西部地検刑事4部に担当させた。ところがそれから2カ月以上過ぎたが、疑惑の中心にいる尹美香・共に民主党議員(正義連の元代表)召喚の日程さえ未だに決められないのだ。

 検察の内外からは「検察組織は大規模人事を前に、秋美愛(チュ・ミエ)法務部(省に相当)長官の顔色をうかがっている」との指摘が相次いでいる。法務部は早ければ来週にも検事長クラス以上の幹部人事を、来月には次長・部長検事クラスなど中間幹部の人事をそれぞれ断行するという。法曹界の関係者は「今年1月に秋長官による『検察大虐殺人事』を経験した検事たちとしては、これを考慮しないわけにはいかないのが現実」と指摘する。

 検察は「やらないのではなく、できない」との立場だ。検察のある関係者は「後援金の内訳と会計資料が膨大で、多くの時間がかかる」「政治的な考慮は一切なく、法律と原則に基づき徹底して捜査を行っている」と説明した。正義連と尹議員に対する告発状だけで10万件以上になるなど、浮上している疑惑があまりにも多いため、その一つ一つを確認するだけでどうしても時間がかかるというのだ。

 別の関係者は「会計不正に対する捜査は、現金が帳簿とは違った形で使用された部分を確認することから始まるが、正義連の帳簿は最初からあまりにもずさんで、捜査が非常に難しい」とも伝えた。

 重要人物らに対する召喚と事情聴取も難しいのが実情だ。尹議員は現職の国会議員であり、尹議員と共に2000年代はじめから正義連の実務を担当してきた麻浦「平和のわが家」の孫永美(ソン・ヨンミ)所長は先月自殺した。別の正義連関係者も「抵抗」を始めるなど、捜査には非協力的だ。生存する被害者への支援業務を担当してきたある職員は検察の事情聴取に応じず、今月14日に補助金管理に関する法律違反で立件された。捜査上の立場が「参考人」から「被疑者」に変わったのだ。検察の関係者は「捜査対象者が済州島に住んでいるらしいので、居住地近くの検察庁で出張調査を受けられるよう調整したが、出頭には応じないと伝えてから連絡がつかない」「適法な手続きに沿って被疑者に転換した」と説明した。

 正義連は「対外世論戦」を通じて連日のように検察に圧力を加えている。今月22日の水曜集会では、職員が被疑者として立件されたことについてイ・ナヨン正義連理事長が「検察の権限を悪用し、市民の人権を侵害した行為」と主張し、狂牛病デモを率いた人物などは検察を糾弾する発言を行った。これらの内容がオンラインメディアを中心に次々と報じられているのだ。

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