11日午後、中国版ツイッター「ウェイボー(微博)」には「BTS(防弾少年団)」と、ファンをやめることを意味する中国語の単語がリアルタイム検索ワードに浮上した。BTSは7日(現地時間)、韓米友好関係の増進に寄与した韓国人と米国人に贈られる「ヴァン・フリート賞」を受賞した時のあいさつで6・25戦争(朝鮮戦争)に一度だけ言及したが、それがバッシングの口実になったものだ。

 中国は、BTSのリーダー・RMが「(米国の韓米親善非営利組織)コリア・ソサエティーの2020年の年例行事(ヴァン・フリート賞授与)は、今年が6・25戦争70周年であるだけにいっそう、意義深いです。両国が共に経験した苦難の歴史と、多くの男性や女性の犠牲を永遠に記憶しなければなりません」と述べた部分を問題視した。2分50秒間にわたり英語で行われたあいさつの原文、全454単語のうち、42単語だ。6・25戦争に言及したのはこれがすべてだ。ほかは「グローバル社会の連帯の力」を強調する内容だった。ところが、中国のネットユーザーは「K-POPが好きな人たちはみんな売国奴だ」「米国の顔色をうかがう韓国は主権意識もないのか」と反発、複数の中国メディアもこれに加勢した。

■北朝鮮の南侵に言及しない中国

 ヴァン・フリート賞は韓米関係に多大な貢献をした人物に贈られる賞で、受賞者が6・25戦争に言及するのは常識的なことだ。それでも中国が言いがかりをつけてきた背景には、6・25戦争を米国に対抗し、北朝鮮を助けるという意味の「抗米援助朝戦争」と規定している中国政府の固執がある。中国の教科書は、北朝鮮の南侵という6・25戦争発生の経緯は省略し、「米軍が38度線を越えて鴨緑江沿いまで進出し、(台湾海峡に軍艦を派遣して)台湾解放を妨害するなど、中国の安全をひどく脅かした」として、中国軍参戦の当為性を強調してきた。

 中国経済研究所のパク・スンチャン所長(竜仁大学教授)は「中国内部では、毛沢東が6・25戦争参戦決定で、自身の息子を含む数多くの犠牲者を出すというミスを犯したとの評もある。中国当局は毛沢東美化のため歴史を違う形で教育し始めた。習近平国家主席の執権以降、このような感情は強まっている」と分析する。

■困惑する韓国企業

 中国国内で騒動が広がると、サムスン電子・現代自動車・FILAは中国で運営する公式ショッピング・サイトやソーシャル・メディアからBTSに関する掲載物をすぐに削除した。数年前の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題のように、政治的対立が経済問題に広がったという「学習効果」から、先制措置を取ったものだ。

 中国は2016年からTHAAD配備に反対しており、韓国企業に対して報復措置を取ってきた。中国現地の不買運動でロッテマートが中国市場から完全撤退し、中国人観光客規制で韓国の免税店や宿泊業などが大きな被害を受けた。韓国最大のコンテンツ輸出産業であるゲーム分野では、中国が3年以上も新規ゲーム許可証を出さず、中国市場への参入が元から絶たれている状態だ。

 中国はそれ以降、文化関連分野でも政治的・外交的な理由で韓国に対してしばしば圧力を加えている。2016年に女性アイドルグループTWICEの台湾出身メンバー、ツウィが韓国のバラエティー番組で台湾国旗を振ったところ、中国人ネットユーザーたちは「一つの中国」の原則を破ったとしてツウィと所属事務所に対して猛抗議した。最近では韓国の人気タレント、イ・ヒョリが韓国のバラエティー番組で毛沢東を連想させる芸名「マオ」に言及したという理由だけで、中国人ネットユーザーたちからネット上でアンチコメント攻撃を受けた。

 中国外務省の趙立堅報道官は12日の定例記者会見で、今回の騒動について質問を受け、「関連報道と中国のネットユーザーの反応を見た」と述べた。そして、「歴史を教訓として未来を見つめ、平和を大切にし、友好を促進することこそ、我々が共に追求し、努力すべきことだ」と語った。

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