ライム資産運用の影の資金提供者、キム・ボンヒョン氏の携帯メールにはしばしば青瓦台が登場する。キム氏は昨年5月26日、知人との携帯メールに「自分は経費を惜しむ人間だったか。金融う監督院であれ(青瓦台の)民情室(民情首席秘書官室)であれ身内だ」と書いた。6月5日には「民情首席秘書官、政務首席秘書官のラインに乗っている」とも書いた。6月28日には「ライムを自分が買収するが、BH(青瓦台)から専門家チームが下りてくる」との記述がある。

 詐欺師は権力者と親交があると口にするというが、この携帯メールはキム氏が知人と交わした日常会話だという点で意味が異なる。虚勢かもしれないが、検察がキム氏を締め上げてもいない時期のことなので単純に虚勢だと決め付けることはできない。「なりふり構わずロビー活動をする」キム氏の行状をそのまま反映している。金融監督院出身の青瓦台行政官は収賄罪で懲役4年の判決を受けた。「民情室は身内」「民情・政務首席のラインに乗っている」という発言が普通に聞こえないのはそのためだ。

 一方、論議を呼んでいるキム氏の獄中書簡は、4月に逮捕されたキム氏が5カ月にわたる検察の捜査を受けた後、9月21日に作成された。キム氏はそれを1カ月間保管しておいて、ライム事件を捜査したソウル南部地検の国政監査直前の今月16日に公表した。2通目の書簡は大検察庁の国政監査前日である21日に公表された。与党の表現を借りれば、「どうもクサい」。キム氏は姜琪正(カン・ギジョン)元政務首席秘書官に関する供述を強要されたと書簡に記しているが、今月8日に法廷では「姜元首席秘書官にカネを渡した」と暴露した。辻褄が合わない。

 ロビー活動が力のない野党関係者だという点も疑問だが、書簡の内容が事実だとしても、キム氏が名指しした野党関係者は尹甲根(ユン・ガプクン)国民の力忠清北道支部委員長だけだ。これに対し、捜査線に浮上した与党関係者は姜琪正氏、奇東旻(キ・ドンミン)国会議員、金栄春(キム・ヨンチュン)国会事務総長、李秀真(イ・スジン)国会議員(比例代表)、イ・サンホ元地域委員長、青瓦台行政官など片手では収まらない。

 キム氏は検察が野党関係者は捜査しないというが、検察は供述後直ちに口座追跡に着手し、捜査を行っている。秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官はそうした事実を明らかに知りながらも、偏向捜査だと言い、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の指揮権を剥奪した。民主党議員は国政監査でライム関連企業と尹総長の姻戚の関与疑惑を指摘した。実際のところ、問題の関連企業の社外理事(社外取締役)は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の人物である康錦実(カン・グムシル)元法務部長官だった。野党はキム氏から酒席の接待を受けた検事と韓東勲(ハン・ドンフン)検事長を再び追及しようとしている。

 詐欺師を前面に出した現政権の政治工作は初めてではない。チャンネルA事件の情報提供者は前科5犯の詐欺師だったし、「被害」を訴えた人物は懲役14年以上を言い渡された金融詐欺犯だった。韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相の無罪を主張した情報提供者も懲役20年以上の判決を受けて服役している詐欺前科者だ。こうした詐欺師が異口同音に口にするのが「検察改革」だ。

パク・ククヒ記者

ホーム TOP