白雲揆(ペク・ウンギュ)前産業通商資源部長官は2018年、月城原子力発電所1号機の「時限的稼働」の必要性を報告した担当公務員に対し、「お前、死にたいのか」と発言し、「即時稼働中断」へと報告書を書き直すよう指示した--。監査院がそうした証言を確保したことが10日までに分かった。白前長官がその後、「即時稼働中断」に書き換えた報告書を青瓦台に上げるように指示したという証言も監査過程であった。月城原発1号機は昨年12月に稼働を永久停止した。

 本紙の取材を総合すると、監査院は10月22日、検察に送付した月城原発1号機関連の「捜査参考資料」に現政権が稼働中断を押し通した過程を詳細に盛り込んだ。監査院は当時意思決定過程の責任者だった白前長官と韓国水力原子力(韓水原)の鄭載勲(チョン・ジェフン)社長など幹部公務員4人を職権乱用などの疑いがある事実上の「捜査対象」として明記したという。

 複数の政府関係者によると、白前長官は18年4月初め、原電産業政策課長ら産業通商資源部の職員から月城原発1号機の早期閉鎖推進案の報告を受けた。職員らは「月城原発1号機は早期閉鎖するが、それに伴う副作用を軽減するため、原子力安全委員会の原発永久停止許可が出るとみられる20年まで2年間は原発を稼働する必要がある」と報告したという。

 すると、白前長官は「原発をそれまで稼働すると青瓦台に報告しろというのか。なぜそんな報告書を作成したのか」「君は死にたいのか」などと激怒し、「即位稼働中断の線で再検討しろ」と指示したという。この報告は青瓦台の文美玉(ムン・ミオク)科学技術補佐官が月城原発1号機を訪問後、「外壁に鉄筋が露出している」という文章を青瓦台のイントラネットに書き込み、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が側近に「(月城原発1号機の)稼働中断をいつ決定するのか」と質問した直後に行われたという。政府関係者は「文大統領の発言を伝え聞いた白前長官が『時限的稼働』という報告を上げた産業通商資源部の職員を叱責したと聞いている」と話した。

 翌日原発担当幹部が「即時稼働中断」を盛り込んだ報告書を作成すると、白前長官は「最初からこうすればいいんだ」と言い、「青瓦台にこのまま報告するように」と指示したという。修正された報告書は青瓦台に報告された。産業通商資源部の職員は監査院の調査に対し、「白前長官の叱責を聞き、侮辱されたと強く感じた」と証言したという。ただ、白前長官は監査院の監査に対し、そんな指示を行ったことはないと否定したとされる。

 監査院は監査過程で原電産業政策課長が時限的稼働の必要性を指摘した最初の報告書など「月城原発1号機早期閉鎖推進案」の文書が削除されているのを確認したという。監査院は10月20日、月城原発1号機の監査結果発表を通じ、産業通商資源部の担当者のパソコンから関連資料444件が削除されていたことを明らかにした。監査院はうち324件を復元したが、残る120件は復元に失敗したという。青瓦台が月城原発1号機の早期閉鎖決定過程に介入していたことを隠すための組織的な証拠隠蔽ではないかと指摘されている。

 産業通商資源部が18年4月初め、青瓦台に「月城原発1号機即時稼働中断」の報告書を上げて以降、産業通商資源部は露骨に原発の稼働を担当する韓水原に圧力をかけていたことも分かった。当時韓水原は原子力安全委員会の月城原発1号機永久停止許可が出るまでは稼働を継続するのが経済的だという意見だった。原子力安全法で原発の永久停止は原子力安全委の許可が必要だ。これに対し、産業通商資源部の職員は韓水原に「長官が即時稼働中断を指示した」「即時稼働中断の結論が出なければ、我々は辞めなければならない。韓水原も無事でいられると思うか」などと迫ったという。

 産業通商資源部の圧力で韓水原がある会計事務所に発注した月城原発1号機の経済性評価は実際より過小評価されたというのが監査院の見方だ。月城原発1号機の利用率と電力販売単価を低く設定するといった経済性の「ねつ造」があったと判断した。今年5月の産業通商資源部と韓水原に対する家宅捜索で始まった検察の捜査は、こうした監査院の監査資料に基づくものだ。

 しかし、政府・与党は検察の月城原発1号機関連捜査を「検察クーデター」「政権を狙った政治捜査」だと攻撃している。現政権の脱原発路線に基づき下された政治的決定に対し、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察」が法を振りかざし、政権に揺さぶりをかけているとの主張だ。白前長官は当時、指示内容を確認するための本紙の電話取材に応じなかった。

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