産業通商資源部(以下、産業部)が昨年12月、監査院による月城原子力発電所1号機の監査期間中に削除した内部文書444件の中に、「北朝鮮原発建設推進」報告書が10件余り含まれていたことが22日、確認された。

 北朝鮮原発関連文書はすべて2018年5月初めから中旬にかけて作成されたものだ。文書作成時期は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の第1回南北首脳会談(4月27日)直後であると同時に、第2回南北首脳会談(5月26日)の直前だった。現政権は「脱原発政策」を推進し、「新たな原発の建設はない」と言ってきたが、北朝鮮には原発を新たに建設してやるという案を秘密裏に検討していたということだ。

 複数の政府関係者の話によると、北朝鮮原発建設関連報告書は「北朝鮮地域原発建設推進案」「北朝鮮電力インフラ構築協力案」「韓半島(朝鮮半島)エネルギー開発機構(KEDO)業務経験専門家リスト」などの題が付いている10件余りだという。KEDOは韓国と米国・日本が1995年に設立した機構で、核兵器開発を放棄する条件として北朝鮮に電力供給用軽水炉2基を提供する事業を推進した。これらの報告書は、韓国政府が2018年5月の時点で北朝鮮電力支援の観点から北朝鮮に原発を建設する案を再び検討していたことを示す文書だと言える。

 韓国政府は当時、「国内の原発を追加で建設することはない」という考えだった。文大統領も大統領候補時代から「新規の原発建設はない。老朽化した原発の寿命延長もない」という「脱原発公約」を何度も明らかにしている。その文政権が、国内にはもう作らないと言っていた原発を北朝鮮に建設する案を推進していたということになる。産業部関係者は「統一などを念頭に置いた長期的な観点から事前に検討した報告書である可能性がある」と話した。

 しかし、官庁関係者の間では、「時期が妙だ」という声が上がっている。産業部が「北朝鮮原発建設推進」報告書を10件余り作成した2018年5月初めから中旬にかけては、同年の第1回南北首脳会談があった直後だった。また、この報告書が作成された直後だった、同年5月末には現政権による第2回南北首脳会談が行われた。元経済関連部処(省庁)の関係者は「現政権の第1回南北首脳会談と第2回南北首脳会談の間に産業部が北朝鮮地域原発建設関連報告書を集中的に作成し、北朝鮮軽水炉支援事業の経験がある専門家たちまで探していたとしたら、単なる長期的展望の報告書だと見なすのは難しい」と言った。

 監査院は、月城1号機の早期閉鎖に関する監査を進めていた昨年12月2日、産業部原発担当者のパソコンを押収し、その中に保存されていた文書ファイル444件が削除されているのを確認した。監査院はこのうち324件を復元、このうち2018年5月初めから中旬にかけて作成された北朝鮮原発建設推進関連報告書を10件余り発見したとのことだ。監査院はこの報告書10件余りを含め、産業部が削除した内部文書のリスト444件を、同事件を捜査中の検察に先日送付したとのことだ。

ホーム TOP