次期法務部長官に内定した朴範界(パク・ポムゲ)氏が自身と妻の土地を公務員財産申告に含めていなかったことが判明した。虚偽で財産申告をしていたとすれば、処罰や懲戒の対象になる。朴氏は2016年、司法試験の存続を求めて、朴氏宅前でデモを行っていた受験生の胸ぐらをつかみ、暴言を吐いた疑惑も指摘されている。朴氏は既に2019年、国会のファストトラック法案処理の過程で、野党関係者を暴行したとして起訴され、裁判を受けている。正義を守り厳正な法執行に責任を負わなければならない法務部長官がさまざまな疑惑に巻き込まれたことになる。チョ・グク前法務部長官、秋美愛(チュ・ミエ)現法務部長官に続き3人連続だ。

 朴氏は12年に国会議員に初当選してから8年間、忠清北道永同郡の林野約2万平方メートル(公示地価約2000万ウォン)を申告していなかった。朴氏は「補佐陣が申告していなかったことを後から認識した」と説明した。しかし、朴氏は青瓦台の民情・法務秘書官から国会法制司法委員会の幹事まで歴任した。誰よりも関連規定を熟知した人物だ。ところが、こんな基礎的な申告すらでたらめに行い、それを補佐陣のせいにした。朴氏の妻が贈与を受けた約2億ウォン相当の慶尚南道密陽市の土地も19年の財産申告に漏れていた。朴氏側は昨年8月、問題の土地を妻の親族に贈与した。また、時価10億ウォン以上とされる妻名義の大邱市内の店舗兼住宅物件も7億ウォンで妻の兄に売却した。複数の住宅や土地を保有していることが論議を呼ぶことを防ぐため、家族間贈与や虚偽取引を行ったのではないかとする疑問が生じざるを得ない。

 朴範界氏は朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長のセクハラ事件が発覚すると、「朴市長はクリーンな方だ」とかばった。セクハラは深刻な違法行為だ。その被害者がいるのに、どうしたらそんなことが言えるのか。犯罪被害者を踏みにじり、犯罪加害者を美化する人物が法務部長官になれるのか。

 チョ・グク前法務部長官は子女の不正入学、違法な私募ファンド投資などで満身創痍(そうい)になった。秋美愛・現法務部長官は息子の休暇優遇疑惑で捜査を受け、政権を捜査する検事に対する制裁人事や指揮権発動、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の職務停止と強引な懲戒、携帯電話のパスワード解除法などで「無法長官」という汚名を着せられた。

 大半の国民は歴代政権の法務部長官の名前を覚えていない。捜査を行う機関ではなく、法務政策を担当する機関だからだ。法務部は本来そうあるべきだ。ところが唯一文在寅(ムン・ジェイン)政権では任命される長官ごとに不法、脱法の物議が絶えない。大統領が法務部長官のポストを政権の不正に対する捜査を阻止する盾だと考え、自分の側近を相次いで据えてきたからだ。検証はされず、ひたすら考え方や価値観が同じかどうかで任命した。朴氏に明らかになった不適格事由にも大統領は知らんぷりするはずだ。

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