今、日本で最も人気あるガールズグループは、デビューしてまだ半月にもならない。12月2日に正式デビューする前から、年末に開かれる日本歌謡界最大のイベント「紅白歌合戦」への出場を確定させた。5カ月前に披露された「プレ・デビュー曲」のミュージックビデオは、再生回数1億8000万ビューを超えた。デビュー曲はリリースされるなりオリコン・チャートで1位になった。世界的に人気の防弾少年団とBLACKPINKも、彼女らに押された。

 多くの日本メディアが、この新生ガールズグループの起こしたブームのような人気を「社会現象」と表現する。有名芸能人から一般国民まで、ダンスをまねした動画をソーシャルメディアにアップした。このガールズグループの名前はNiziU。昨年6月まで1年かけて進められたオーディションプログラム「Nizi Project」で選ばれた10代の少女9人がチームを組んだ。日本全国から集まった志望者1万人の中から選ばれた。

 メンバーは全員日本人だが、韓国の芸能プロダクションに所属する。JYPのプロデューサー、パク・チニョン(48)は「世界で勝負できるガールズグループ」を目標に、日本のソニー・ミュージックと共にオーディションプログラムを進めた。審査委員の一員となり、自ら最終メンバーを選んだ。厳しい訓練で完成型のアイドルを作る韓国式をそのまま適用した。韓国のガールズグループTWICEにあこがれるという日本の少女たちは、ソウルで6カ月間の合宿トレーニングを受け、韓国アイドルの曲を歌って競争した。日本の視聴者らは、毎回成長する参加者の様子を見て感動し、泣き、笑った。

 ところが意外にも、デビューしたばかりのガールズグループに対し、韓国のネットでは一部に険悪な非難が現れている。「Kポップのアイデンティティーを汚す」「韓国の技術力を売り渡す行為」「かつての親日・李完用(イ・ワンヨン)と何が違うのか」という声だ。パク・チニョンが韓流アイドルの育成ノウハウを流出させる親日行為をやったという非難だ。1600年前に日本へ学問を伝えた百済の王仁博士も親日だと言いそうな勢いだ。

 韓国市民の意識水準はそれほど低くなかった。親日論争はそれ以上広がることなく衰えた。文化交流が平和の基礎を整える道だという事実を理解しているからだろう。

 前途はいまだ遠い。「竹やりを持とう」と言っていた1960年代生まれの元法相は除くとしても、80年代に生まれた若手の政治家すら「親日たたきで人気取り」に乗り出したのを見て絶望した。韓国与党の国会議員の立場からすると、検察破壊を改革と装うのは、むしろ理解できる。この37歳の議員は「独立運動がうるさいと親日はできない」と親日商売の隊列に合流した。

 親日に関連付けたレッテル貼りはもうやめるべきときだ。新任の駐韓日本大使は韓国映画を好んで鑑賞し、シン・スンフンのコンサートに通う「親韓派」だという。親近感を覚えるが、大使は当然日本の国益のために仕事をするだろう。逆に韓国の駐日大使が、美空ひばりの歌を好んで歌う「親日派」であったら駄目なのだろうか。韓国の国益を貫徹しようとして日本の国民に親し気にアプローチする「親日」を行っては、絶対に駄目なのか。文化と企業は一流として疾走しているのに、政治はまだ四流にとどまっている。

 韓国型日本人ガールズグループのおかげで、韓流に対する関心は一段と強まり、厳しい世論は一段と軟化した。パク・チニョンが、オーディションに参加した少女たちに韓国語と日本語を交えつつ行ったアドバイスは「魔法のような言葉」と評価され、大きな人気を集めた。日本のポータルサイトで「J. Y. Park 名言」を検索すると、どっと流れ出てくる。「才能が夢をかなえてくれるわけじゃない。過程が結果を作り、態度が成果を生むのだから」というような言葉だ。辛口なことで有名なタレントのマツコ・デラックスも態度を変えた。最近、自分の番組でパク・チニョンをインタビューし、高く評価した。こういうのが親日だというのなら、応援する。

李漢洙(イ・ハンス)世論読者部長

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