非行女子生徒を利用し、女子中高生10人余りを脅し、60回余りにわたって性的暴行を加えたとして、児童・青少年の性保護に関する法律違反の罪で起訴された被告の男(44)に対し、ソウル高裁春川裁判部は21日、懲役20年を言い渡した。一審の懲役15年より重い判決となった。

 被告は建設下請け会社の従業員で、非行女生徒の後ろ盾の「怖いおじさん」として振る舞い、学校での校内暴力の被害者ら弱い立場にある女子生徒に性的な関係を強要していた。被告は10年間の身元情報公開、10年間の児童・青少年関連機関および障害者施設での就業制限も命じられた。

 判決によると、被告は2018年、フェイスブックのメッセンジャーを通じ、当時江原道の中学校に通っていた女子生徒(17)と知り合った。被告は女子生徒に小遣いを渡し、食事をおごったり、たばこを買い与えたりして歓心を買い、親しくなった。

 女子生徒は学校でいわゆる「番長」格だった。周囲の生徒が震え上がっていることを知った被告は19年秋、女子生徒に校内暴力の被害者を呼び出させ、脅して強制的に性的関係を持った。被告は番長格の女子生徒と親しいと告げ、「校内暴力を防げるのは自分しかいない」などと「いじめ解決役」を名乗る一方、「問題を解決するには自分と性的関係を持たなければならない」と本心をあらわにした。

 拒否した生徒には「あの子らに目を付けられたら学校生活ができなくなる」「君たちの両親を生き埋めにすることもできる」などと脅した。被告は「自分は闇金業者だ」「裏切ったら仕返しする」などという言葉を恐れた生徒らと次々と性的関係を持った。昨年3月から7カ月間、被告から性的暴力を受けた生徒は11人で、13歳の中学1年生も含まれていた。被告は暴行後に連絡を絶った女子生徒を探させ、再び呼び出して犯行を繰り返した。

 被告は犯行場面を携帯電話で撮影した。通報や告訴ができないように女子生徒の顔や身体の主要部位が映ったわいせつ動画を撮影した。被告は「強制的に性的関係を持つわけではない」「強制的な撮影ではない」などと被害者の同意を得たかのように振る舞っていた。被害を受けた女子生徒6人は誰かに映像を見られるのではないかという不安感にさいなまれた。

 被告の言いなりだった女子生徒は被告による性的暴行の事実を知りながらもそれを傍観し、被害生徒らをうそで脅迫して、被告と引き合わせていたという。

 ソウル高裁春川裁判部は「11人の児童・青少年を相手に62回にわたり犯行に及んだ点からみて、懲役15年を言い渡した一審判決はやや軽く不当だ。被告が被害回復に取り組まず、真面目に努力もしておらず、重い刑は避けられない」と指摘した。

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