与党・共に民主党はメディアの報道に対して最大3倍の懲罰的損害賠償をさせるようにすると言った。「メディアにくつわをはめる」と批判を呼んだ法案を正式に推進するということだ。報道機関の訂正報道時、最初の報道と同じ時間・分量で訂正報道をするという法案も提出されている。共に民主党指導部は、数日前までは「(動画投稿・共有サイト)ユーチューブや個人メディアなどで飛び交うフェイクニュースを規制しようというもの」「マスメディアや報道機関が対象ではない」と言っていた。しかし、強硬な親文(親・文在寅〈ムン・ジェイン〉大統領)系支持者が抗議のモバイルメッセージを送って反発すると、「メディアを除外すると言ったことはない」と見解を完全に覆した。

 懲罰的損害賠償は、「知る権利」と「言論の自由侵害」という批判により、米国でも刑事罰の代わりに極めて限定的に導入された制度だ。賠償対象のフェイクニュースは、明らかに事実ではないと知りながらも、悪意をもって意図的に報道したものだ。一般メディアの誤報とは次元が違う。与党は何がフェイクニュースなのかという基準も提示していない。結局、自分たちに不利な報道をフェイクニュースに仕立てるのではないだろうか。

 国会法案検討報告書は「民法上の損害賠償や刑事処罰制度と重複し、憲法上の過剰禁止原則に違反する素地がある」としている。既に言論仲裁委員会や放送通信審議委員会、刑事告発、民事上の損害賠償といった処罰・救済手続きが十分に整えられている。韓国記者協会などの報道機関団体は「言論の自由と国民の知る権利を侵害する悪法だ」と言った。同じ時間・分量の訂正報道にも文化体育観光部と国会文化体育委員会は「メディアにとって過度の負担だ」としている。共に民主党がこれを知らないはずがない。それでも強硬な親文系支持者たちの要求を受けてメディアを同案に盛り込んだ。強硬な親文系支持者たちの要求とは何だろうか。「文政権を批判する報道にくつわをはめろ」ということだ。

 これまで、インターネット上で頻繁にフェイクニュースを流してきたのは、主に与党関係者たちだった。捜査が始まってもいない事件で有罪が確定したかのように文大統領が追い込んだことから、屈辱のあまり自殺した人もいた。「盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団」の柳時敏(ユ・シミン)理事長はチョ・グク元法務部長官を詭弁(きべん)で擁護し、「検察が財団の口座をのぞき込んだ」と虚偽の主張をした。共に民主党の尹準炳(ユン・ジュンビョン)議員は「北朝鮮の原発の建設材料は朴槿恵(パク・クネ)政権時に作られた」というフェイクニュースを広めた。このような人々が逆にメディアを抑えると言いながら棒を振り上げた。裁判所を掌握し、検察から捜査権を奪ったと思ったら、今度はメディアの口までふさごうとしているのだ。

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