文在寅(ムン・ジェイン)大統領の息子のジュンヨン氏(38)がソウル市の「コロナ被害緊急芸術支援」事業でわずか4行の被害事実確認書を提出し、最高額の支援を受けていたことが確認された。この事業の視覚分野には281人が志願し、うち46人が支援対象に選ばれた。支援限度額の1400万ウォン(約132万円)を受けたのは36人だが、ジュンヨン氏はそのうちの1人になっていたのだ。

 ジュンヨン氏は被害確認書にわずか3つの文章(4行)で「3つの展示会がキャンセルされ損失が大きく、作品の制作費回収は不可能」という趣旨の説明を行った。脱落した235人のうち215人(91.4%)はジュンヨン氏よりもはるかに詳しく被害状況について説明した。うち31人は4件以上の被害を訴えていた。ジュンヨン氏のように短く数行の記載で選定されたケースはほとんどなかった。ある脱落者はA4用紙6枚にグラムまで使い被害状況についてぎっしりと記載した。障害者芸術育成事業を行っているA氏は「障害を持つ芸術家を自宅に送り返すわけにはいかない」と訴え、ジュンヨン氏と同じくメディア・アート分野で活動するBさんは「4回の公演と展示がキャンセルされ、保有する道具まで売却しながら生活している」と説明した。しかし2人はいずれも脱落した。

 ジュンヨン氏は自らの作品について「新たな文化技術を総合した芸術開拓事例として、国際的にも認められるものと期待される」と自画自賛した。予算の支援に伴う雇用拡大効果については一切記載していなかった。ある志願者は「2-10人の雇用を生み出す」と訴えたが選ばれなかった。どのような基準でジュンヨン氏が選ばれたのか疑問を持たざるを得ない。

 この事業を行ったソウル文化財団は「被害事実確認書は参考資料に過ぎず、審議基準には含まれていない」と説明した。名目が「コロナ緊急被害支援事業」なのに、なぜ被害の実態が単なる参考用なのだろうか。しかもジュンヨン氏が提出した事業計画書が突出して優れていたわけでもなかった。雇用への効果も「0」であり、審議基準とされた「事業成果および寄与度」の面でも劣っていた。要するにジュンヨン氏は大統領の息子でなければ選ばれていなかったということだ。

 ジュンヨン氏は昨年末に特恵が指摘され問題になると「錯覚しているようだが、まともに書ける人間が選ばれた」と主張した。しかしジュンヨン氏は2006年に韓国雇用情報院5級職員として採用される際にも、願書の経歴欄にはわずか3行しか記載していなかった。ジュンヨン氏のようにわずか3-4行の志願書で簡単に予算の支援を受け採用までされる人間はこの大韓民国に何人いるだろうか。涙を流しながら志願書を書いても脱落した人たちが、ジュンヨン氏をどのような視線で見つめているか、一度考えてみてほしいものだ。

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