韓国統一部(省に相当、以下同じ)の李仁栄(イ・インヨン)長官が今月8日から行われている韓米連合訓練の指揮所を電撃訪問していたことが11日までに分かった。ある韓国政府筋によると、李長官は訓練3日目となる前日の10日、韓国国防部の徐旭(ソ・ウク)長官と共に陸軍首都防衛司令部が管轄する「B1バンカー(掩蔽壕=えんぺいごう)」を訪れ、軍の将校らを激励した。

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 ソウル南泰嶺の地下に設置されている「B1バンカー」は、有事に大統領や主要部処(省庁)の関係者が戦争を指揮する戦時指揮所だ。北朝鮮が強く反発する連合訓練が行われている中、南北の交流・協力を総括する統一部長官がこの訓練指揮施設を訪問するのは異例だ。

 今回の訪問は徐長官の提案によって実現したという。韓国軍周辺からは「連合訓練が南北関係に及ぼす影響を懸念してきた李長官に対し、徐長官自ら現場を公開し、訓練の進め方などについて理解を求めたのでは」との見方が出ている。

 これに先立ち北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は今年1月、労働党第8次大会で「(南朝鮮当局は)米国との合同軍事演習を中止すべきとするわれわれの度重なる警告から引き続き顔を背け、北南合意に逆行している」と述べた。その後、李長官は訓練の縮小・延期を求める意見を積極的に訴えてきた。

 李長官はバンカーを訪問する前日(9日)、メディアとのインタビューに応じ「(韓米連合訓練については)それなりに柔軟なやり方で、また最小限の規模で行う点に注目する必要がある」と述べ、北朝鮮側に理解を求める考えを示した。李長官はさらに「韓国軍への戦時作戦統制権移管のためには、非常に基本的な手続きを進める軍事的必要性があることもまた事実」との考えも示した。

 韓国と米国は今月8日から今年上半期の連合指揮所訓練を開始した。今回の訓練はコロナの感染状況を考慮し、参加規模を最低限に抑えて行われた。野外の機動訓練はなく、コンピューターシミュレーション方式で今月18日まで行われる。

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