韓国与党・共に民主党の尹美香(ユン・ミヒャン)議員が不正受領したものであると検察の調べで明らかになった国の補助金について、女性家族部が6カ月もの間、何の処置もしていなかったことが分かり、問題になるものと予想される。同部は当初、「裁判所の判決前でも違反が見つかった場合は取り戻す」と言っていた。

 検察は昨年9月、尹議員を業務上横領・補助金不正受領などで起訴した。起訴内容には、尹議員が「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)理事長を務めていた2014年から昨年4月までに「慰安婦被害者治療事業」などで人件費補助が必要だとして女性家族部をだまし、6520万ウォン(現在のレートで約630万円)を奪った容疑も含まれている。同部は慰安婦被害者支援業務を担当する主務部処(省庁)だ。

 これを受けて、女性家族部は別途に記者会見を開き、「補助金不正受領について、正義連側の疎明を受けた上で、裁判所の判決前であっても法令違反事項が見つかった場合は取り消し・環収手続きを進めたい」と述べた。しかし、6カ月が過ぎた現在も国の補助金6520万ウォンについて何ら後続措置を取っていない。しかも、検察起訴後も、正義連に支給する予定になっていた補助金1億4000万ウォン(約1350万円)を「起訴内容に含まれていない事業予算」として、昨年下半期に計画通り支給した。これについて、同部関係者は「裁判が進行中であるため、結果を見て処理するのが正しいからだ」と説明した。「判決前であっても法令違反事項が見つかった場合は取り消し・環収手続きを進める」という従来の見解を覆したものだ。

 正義連は昨年10月、同部に「人件費を職員に通常通り支給し、職員たちが自発的に給料を再び団体に寄付した」と説明したという。このような説明に対して、「事実かどうかを確認したのか」「補助金不正受領関連で違法がなかったのかについて、独自の調査を進めたのか」などの問いかけに、同部は「裁判で扱われる内容なので、確認できない」と答えた。

 女性運動関係者などの間からは「昨年、『女性家族部は慰安婦被害者支援事業の管理がずさんで、尹議員を擁護している』と世論の批判を浴びるや、同部は積極的に関与していくことを発表したが、今は国民たちの関心が薄くなり、与党の顔色をうかがいながら手を引こうとしている」という見方が出ている。政府は、これまで正義連などの民間団体に任せていた慰安婦被害者支援事業を、今年からは女性家族部傘下の韓国女性人権振興院に任せ、予算を割り当てている。

ホーム TOP