蔚山市の宋炳琪(ソン・ビョンギ)元副市長(59)夫妻が蔚山市交通建設局長として在任中の購入した土地で総額3億6000万ウォン(約3500万円)の差益を得ていたことが30日までに判明した。

 本紙の取材を総合すると、宋元副市長は蔚山市交通建設局長を務めていた2014年12月4日、蔚山市北区新泉洞209-11番地の土地437平方メートルを購入した。4人が分割所有する形態だった。宋元副市長が237平方メートルを2億3000万ウォンで、妻のH氏が200平方メートルを2億ウォンを購入するなど、総額4億3000万ウォンで取得した。宋元副市長が土地を購入してからわずか4カ月後、蔚山市は問題の土地から50メートル離れた場所で住宅建設事業計画を承認。913戸規模のマンションが建った。当時宋元副市長は交通建設局長として、住宅建設事業の許認可業務を担当する立場にあった。

 宋元副市長が土地を購入して5年後の19年6月、蔚山市は問題の土地のすぐそばに道路を設けるための事業費として、蔚山市北区庁に特別調整交付金20億ウォンを配分した。当時宋元副市長は経済副市長を務めていた。当時蔚山市は宋元副市長の権限を大幅に拡大し、これまで行政副市長が担当していた道路建設など道路建設局の業務を経済副市長の担当へと移管した。

 土地周辺のマンションが建設され、すぐ横に片道2車線の道路ができることになり、地価が急騰した。宋元副市長は19年12月26日、自身と妻が保有する土地を7億9000万ウォンで売却した。3億6000万ウォンの差益を得たことになる。売却時点は今年4月の総選挙を控え、候補者が財産申告をしなければならない基準日19年12月31日の5日前だった。宋元副市長は昨年、蔚山市南区甲選挙区から民主党候補として出馬を目指したが、党内の候補選考で敗れた。

 宋炳琪元副市長を経済副市長に起用した宋哲鎬(ソン・チョルホ)市長は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の30年来の友人だ。宋元副市長は現在、青瓦台による「蔚山市長選挙介入事件」で重要な役割を果たしたとして起訴され、裁判を受けている。宋元副市長は本紙の取材に対し、「絶対に投機ではない」とし、「北区に配分された特別調整交付金のことも知らない」と答えた。

 現地を訪れると、宋元副市長が保有していた土地一帯は畑と空き地が大部分だった。土地周辺には片側1車線の道路2本を挟み、11棟から成るマンション団地があった。今後建設される片側2車線の道路は問題の土地のすぐ脇を通る。

 周辺住民と不動産仲介業者によると、マンションが建設された土地には、宋元副市長が土地を購入した当時にも梨畑が多かったという。不動産仲介業者は「農業従事者が大半の敷地のそばに知人4人が共同で土地を購入したことからみて、開発情報を事前に知っていた可能性が高い。宋元副市長の土地は(道路に面していない)袋地だが、道路建設計画が発表されたことで価格が少なくとも3-4倍に上昇したはずだ」と指摘した。

 15年に交通建設局長を退任した宋元副市長は、18年に経済副市長として復帰した。蔚山市は宋元副市長の復帰から約10カ月後の19年6月、問題の土地のすぐ脇に当たる場所に片道2車線の道路を整備する事業に特別調整交付金20億ウォンを交付した。事業費が他の目的に転用されないように万全を期すようにという条件も付けたという。当時蔚山市北区庁は市に8件の事業で特別調整交付金を申請したが、市側は問題の道路建設を含む2件だけに交付金を配分した。

 宋元副市長による土地投機について、蔚山市庁内部と地元政界からは、「地方首長のへそくり」と呼ばれる特別調整交付金で予算を遠回しに編成したのではないかとする指摘が聞かれる。蔚山市幹部は「市は事業に妥当性があれば、事業費を直接編成できるが、そうすれば、宋元副市長が自分の土地の近隣に道路を建設したという批判にまともにさらされる。それを避けるため、交付金の方式を使った疑いが十分にある」と話した。

 宋元副市長夫妻と共に土地を購入したK氏夫妻は「当時マンション住まいだった宋元副市長夫妻と別の近隣住民1人を自分が誘い、土地を購入したものだ」と語った。

ホーム TOP