韓国陸軍アパッチ・ヘリの射撃訓練が2018年の南北首脳会談以降、半分にまで減少したことが27日までに分かった。

 韓国の保守系野党・国民の力のシン・ウォンシク議員はこの日、韓国国防部(省に相当)から陸軍のアパッチ・ヘリ射撃訓練の現状について報告を受けた。それによると2017年には13回(地上10回、海上3回)だった訓練回数は18年までは12回(地上9回、海上2回=原文ママ)を維持していた。ところが19年になると6回(地上5回、海上1回)、20年には5回(地上4回、海上1回)へと半分の規模に減少したのだ。今年については先月地上訓練が1回行われただけだ。

 アパッチ・ヘリは北朝鮮軍による戦車攻撃や局地挑発などに備えるため2017年に36機が導入されたが、そのために国の予算から2兆ウォン(約2000億円)が投入された。このように高価な装備を事実上遊ばせていることについて韓国軍は「コロナの感染対策のために訓練を減らした」と説明した。陸軍首都防衛司令官や合同参謀本部作戦本部長などを歴任したシン議員は「ヘリの射撃とコロナの感染拡大との相関関係ははっきりと確認されていないのに、柔軟に対応せず訓練だけを減らした」と指摘した。

 国防部は今後も2028年までに3兆1700億ウォン(約3100億円)を投じてアパッチ・ヘリ36機を追加で導入することを先月決めたばかりだ。シン議員は「現在使用しているヘリの射撃訓練さえまともにできないのに、国民の血税を使ってこれほど高価な装備をなぜ追加で導入するのか追及しなければならない」と述べた。

 これに対して陸軍は「アパッチ・ヘリの射撃訓練は部隊訓練指針(年4回以上)に基づいて通常通り実施している」「2019-20年にコロナの感染が拡大する状況でも計画された訓練は中止することなく行った」と説明した。

 一方で慶尚北道浦項の射撃場で行われる在韓米軍のアパッチ・ヘリ射撃訓練も住民の反対などで今年2月から中断している。主要な韓米連合訓練も屋外で行われる訓練は南北首脳会談以降、今も中断したままだ。

 これについて米国からは「実弾訓練をしなければ部下が血を流す」「連合訓練はコンピューター上のゲームになってしまった」(ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官)など懸念の声が出ている。このような中で韓国軍が単独で行う訓練まで引き続き減少を続けていたのだ。

 シン議員は「2018年の南北首脳会談と9・19軍事合意によって大韓民国軍隊の根幹が揺らいでいる」「軍事訓練を政治的な取引の材料とする政権、また訓練さえしない軍を国民はどうやって信頼できるだろうか」と指摘した。

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