▲写真=NEWSIS

 孫正義会長が率いるソフトバンクグループが12日発表した2021年3月期連結決算は、純利益が4兆9879億円の黒字に転換した。世界的に見ても、昨年の利益水準で米アップル(6兆1905億円)、サウジアラビアの石油会社サウジアラムコ(5兆2618億円)に次ぐ3位だ。サムスン電子の純利益(26兆4078億ウォン=約2兆5600億円)の2倍に迫る。日本企業の純利益としては、18年3月期にトヨタ自動車が記録した2兆4939億円を上回り、過去最高を更新した。相次ぐ投資失敗で昨年1-3月期に最悪の赤字を出し、「孫正義の時代は終わった」と評されたこともあったが、孫会長は華麗にカムバックした。コロナ流行以降、非対面・デジタル化の需要が急増し、ソフトバンクが投資していた全世界のテクノロジー企業が急速に成長したことが復活の秘訣だった。

■復活した孫正義帝国

 ソフトバンクグループは昨年1-3月期に1兆4000億円という巨額の赤字を出した。日本企業としては最悪の記録だった。20年3月期の通期赤字も9615億円に上った。業績低迷の最大の理由は孫会長が設立、運用しているビジョンファンドの投資損失だった。シェアオフィス・コワーキングスペース業者、ウィーワークの上場失敗とウーバーなどカーシェアリング業者の業績悪化に新型コロナウイルスによるショックも重なり、厳しい成績表を突きつけられた。孫会長は昨年、米Tモバイル、中国のアリババ(阿里巴巴)など主な投資先企業の株式を売却し、100兆ウォンの現金を確保し、債務を償還しようとしたが、投資業界からは「孫正義の時代は終わった」という言葉まで聞かれた。

 それから1年でソフトバンクグループを救ったのも結局はビジョンファンドだった。全世界のテクノロジー企業に対する投資が非対面・デジタル化というトレンドと重なり、巨大な利益となって返ってきたのだ。ビジョンファンドの投資企業の価値が上昇し、ソフトバンクグループの投資収益は前期の1兆4102億円の赤字から7兆5290億円の黒字へと劇的な転換を果たした。株価も1年間で2倍になった。

 特に巨額を投じたテクノロジー企業が相次いで上場に成功し、投資成果が高まった。ソフトバンクは2015年と18年に総額3兆ウォンを投資し、韓国のインターネット通販業者クーパンの株式38%を取得した。今年3月にクーパンがニューヨーク証券取引所に上場したことで、ソフトバンクの持ち株の時価は約26兆ウォンとなった。7600億ウォンを投資した米最大のデリバリー業者ドアダッシュは昨年12月に上場した。ソフトバンクの持ち株の価値は投資額の13倍の10兆ウォンに達した。日本経済新聞によると、カーシェアリング業者である中国の「滴滴出行」、東南アジアのグラブなど非上場企業の評価額が急激に高まり、ソフトバンクグループの純利益が一気に数千億円膨らんだとされる。

■今年も5社以上が上場予定

 ソフトバンクグループの今後の業績見通しも明るい。動画共有アプリ「ティックトック」の親会社、バイトダンス(字節跳動)、人工知能(AI)による顔認識技術のセンスタイム(商湯科技)、トラック配車アプリの満幇集団(フル・トラック・アライアンス・グループ)など年内に上場を控えた大企業は5社を超える。これら企業は現在、少なくとも100億ドル以上の企業価値を認められている。ソフトバンクグループによると、ビジョンファンド1号は昨年末までに10社から資金回収を終え、一時業績不振で資金調達が挫折しかけたビジョンファンド2号も26社の企業に投資した。

 孫会長は昨年、投資失敗を経験して以降、投資方式を変えた。投資損失を最小化するため、有望スタートアップへの投資と同時に、検証された上場大企業に対する投資割合を拡大している。昨年末現在でソフトバンクグループはアマゾン、フェイスブックなど上場企業の株式を総額20兆ウォン相当を保有している。今後上場企業への投資割合を10%前後で維持していく計画だ。非上場企業は企業価値が急落しても、株式の処分など対応が容易ではないため、優良上場企業への投資割合を高め、リスクを抑える戦略だ。

 孫会長は今年初め、通信子会社ソフトバンクの会長職を退き、今後は投資業務に専念する意向を表明した。孫会長は最近、「ビジョンファンドはこれまでに131社に投資を行い、うち15社が新規株式公開(IPO)を終えた。今後毎年20社ずつ上場させたい」とし、「ビジョンファンドは収穫期に入ったばかりだ」と発言した。

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