▲今月16日、フェイスブックのコミュニティー「陸軍訓練所に代わってお伝えします」に載った不正給食の通報写真

 隔離将兵らに不十分な給食が提供されたという暴露を巡り、これまで「正常に提供された」と釈明していた韓国国防部(省に相当)。ところがわずか2日で前言を翻し「不十分な給食は事実だったことが判明した」と発表した。国民的関心が強い事案に対し、韓国軍は現場調査もきちんとせず疑惑にふたをすることに必死で、結果的にうそをついたわけだ。国防部の徐旭(ソ・ウク)長官は大規模監査と問責を指示した。不正給食問題が絶えないことから、韓国陸軍は隷下部隊の給食を民間業者に全面外注する案まで検討している。

 国防部のプ・スンチャン報道官は18日の定例ブリーフィングで、最近鶏竜台の隷下部隊で「米飯とキムチ炒め、具の入ってないオジンオクク(イカのスープ)」など不十分な食事が提供されていたとするフェイスブック上での通報は事実だった、と伝えた。通報は今月16日にアップロードされたが、国防部は当日中に公式見解を出して「全てのメニューが正常に提供された」としていた。しかしわずか2日で、この釈明はうそだったことを認めたのだ。

 プ報道官は「徐旭長官は報告を受けるや監査官室に指示し、鶏竜台勤務支援団に対する監査を進めている」とし「陸・海・空軍レベルでも鶏竜台地域の21部隊を対象にした精密診断に着手した」「監査の結果に基づき、関係者に対して厳重に責任を問う」と発表した。韓国政府の関係者は「不正給食論争が長期化しているにもかかわらず、一部の指揮官の認識はどうしようもない水準」だとし「このほど総合対策まで発表したのに、長官の命令が通っていないのではないかと心配されるほど」と語った。

 韓国陸軍の関係者はこの日、「現行のシステムでは新世代の将兵の嗜好(しこう)を満足させるのは不可能」とし「お金を払って食事をする幹部食堂のように兵士食堂も最初から外注するという案も、アイデアのレベルで検討中」と語った。わけても前方部隊の指揮官が「給食問題のせいで指揮の負担が大きい」として、外注化に前向きな立場だという。論争が続いている隔離兵士向けの弁当についても「いっそコンビニ弁当を大量購入して提供しよう」という話が出ている。

 韓国陸軍は、最近の物流システムを考慮すると、首都圏や後方部隊の給食はもちろん、京畿道・江原道地域の最前方部隊の給食までも大企業などに任せることは不可能ではないとみている。京畿道抱川、江原道春川・原州などに給食拠点センターを設立し、そこから最前方一般前哨(GOP)地域まで「半調理ケータリング」を行う案なども検討されているという。韓国陸軍の関係者は「もしそういう案が現実になった場合、現在各級部隊で運営している『炊事班』はほとんどが門を閉じるということもあり得る」と語った。

 しかし韓国軍内部からは、「給食全面外注化」は時期尚早という指摘も出ている。国防部は今月7日、不十分な給食を巡る総合対策を発表し、1日8790ウォン(現在のレートで約849円。以下同じ)となっている兵士1人当たりの給食費を来年は1万500ウォン(約1014円)まで引き上げたいとした。兵士1人の1食当たりの給食費(2930ウォン=約283円)は高校生(3625ウォン=約350円)より安い、という批判に伴うものだ。しかし外部団体に給食を任せようと思うのなら、流通マージンや人件費(20-30%)を考慮し、給食費を1万500ウォン以上に策定しなければ現実的ではないと指摘されている。

 また、給食も軍隊における軍需機能の重要な一部分なのだから外注化は望ましくない、という指摘もある。韓国軍の関係者は「戦争が起きた場合、戦闘食糧の在庫を考慮して野戦炊事もしなければならない」とし「各部隊で炊事の主特技を取った人員は確保しておき、非常事態に備えた計画も樹立しなければならない」と語った。

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