テレビのバラエティー番組でお笑いタレントが使っていた、方言を取り入れた流行語「モソン129(イリグ)」(ムスンイリゴ=何ごとだ=の語呂合わせ)がおととい突然、全世界に広がった。男性アイドルグループBTS(防弾少年団)が新曲『Butter』で米ビルボードのメイン・シングル・チャート「Hot 100」1位になった際、リーダーのRMがこの流行語を使って「モソン129、ホントにありがとう。会いたいです」とコメントしたからだ。これを「BTS翻訳係」たちがいち早く英語やスペイン語などに翻訳し、各国のファンに伝えた。

 昨年末、BTSのメンバー、JIMIN(ジミン)が出したソロ曲『Christmas Love』に登場する単語「ソボクソボク」をめぐり、海外ファンたちの間で興味深い反響があった。「BTS翻訳係」は「『ソボクソボク(sobok sobok)』とは、大きな雪のつぶがフワフワの雪のベッドを作って、音もなく地面に積もる様子を描写した言葉」と英語で説明した上で、「falling falling」と訳した。すると「本当にラブリーな表現」「韓国語は感性豊かな言語」「韓国語がすごく勉強したくなった」などの反響が相次いだ。

 「BTS翻訳係」とは、BTSファンの中で自ら進んでツイッターやインスタグラム、ユーチューブなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)アカウントにBTSの歌詞から彼らの言葉やスケジュールの一つ一つまで、各国の言語に翻訳してアップロードする情熱的なファン翻訳家たちのことだ。このBTS翻訳係のおかげで、ファンたちは言葉の壁を乗り越えて好きなBTSメンバーたちの一挙手一投足を見守っている。BTSが「チルチョプパンサン(7種類のおかずが並んだお膳〈ぜん〉)をさし上げます」と書き込めば、その言葉の説明を付けて英語の翻訳文をすぐにアップする。BTS翻訳ツイッターのアカウント「ドゥル、セッ(2、3)」はフォロワー数が45万人、「クレア7」は37万人にも達する。

 「アイドル」と「訓民正音(1446年に出されたハングルの成り立ちの説明書、転じて韓国語のこと)」を合わせた「ドル民正音」という新語もある。オッパ(oppa=お兄さん、または兄のような男性)、オンニ(unnie=お姉さん、または姉のような女性)、マンネ(maknae=末っ子、グループの最年少メンバー)といった言葉は、韓流ファンの間で韓国語のまま通じる「ドル民正音」だ。最近、マクドナルドが「BTSメニュー」を全世界40カ国で発売し、その包み紙にハングルで「ボラヘ」と印刷した。「ボラヘ」とは、BTSが自分たちのシンボルカラー「ボラ(紫色)」にちなんで、ファンに「サランヘ(愛している)」の代わりに「ボラヘ(紫している)」と言ったことから流行語となった「ドル民正音」だ。昨年、韓国のある企業が「ボラヘ」を商標登録しようとしてBTSファンらの激しい抗議に遭い、出願を取り消した。

 1970-80年代はポップスを聞いて英語の勉強をしたという若者たちが少なくなかった。日本の漫画に夢中になって日本語を勉強した人もいる。今ではK-POPや韓流ドラマのおかげで「韓国語を学びたい」という需要が増えている。BTS翻訳係のような民間外交官たちがこうした時代の到来を早めている。

カン・ギョンヒ論説委員

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