▲5日午前、ソウル市東大門区の失踪(しっそう)者家族支援センターで、62年ぶりに再会した妹チン・ミョンスクさん=写真左=と長兄チョン・ヒョンゴンさん。写真=パク・サンフン記者

 5日午前11時、ソウル市東大門区の警察庁失踪(しっそう)者家族支援センター2階。チン・ミョンスクさん(66)が62年ぶりに長兄チョン・ヒョンゴンさん(76)さんと再会し、抱き合った。ヒョンゴンさんは「子どものころの姿そのままだね」と言ってミョンスクさんの手を握った。現在、カナダで暮らしているため、テレビ電話で会った次兄チョン・ヒョンシクさん(68)に、ミョンスクさんは「お兄さん、お兄さん、髪が全部抜けてしまって…。私は元気にしていました」と言った。

 1959年6月、当時4歳だったミョンスクさんは、仁川市中区のペダリ市場近くで、2歳上の次兄ヒョンシクさんと一緒に歩いていて迷子になった。その後、ミョンスクさんは仁川市弥鄒忽区にある児童施設を経て、ある修道女の養女になった。自分の名前が「ミョンスク」であることだけは覚えていたが、姓は覚えておらず、本名の「チョン・ミョンスク」ではなく「チン・ミョンスク」になった。世話をしてくれた神父の姓を付けたのだ。

 成人したミョンスクさんは家族を探そうとあちこち当たったが、容易ではなかった。放送局にも行ってみたが、「名前が分からなければ見つけることができない」という答えが帰ってきた。そして2019年11月、警察庁に遺伝子登録をした。警察庁は、長期行方不明者を発見するため、「遺伝子分析制度」を施行していた。

 警察庁失踪者家族支援センターは、今年3月からミョンスクさんと個別面談し、警察に登録された遺伝子を比較して、ついにカナダで暮らす次兄ヒョンシクさんの存在を突き止めた。外交行嚢(こうのう)を通じてヒョンシクさんの遺伝子を受け取り、照合する過程も経た。仁川市南区に住む長兄ヒョンゴンさんとも連絡がついた。

 家族と別れ別れになっていた間に、ミョンスクさんの両親と末の妹はこの世を去った。ミョンスクさんは「一緒に会えたら本当に良かったのに」と涙声で語った。この日の再会には、ミョンスクさんの2人の息子と夫、ヒョンゴンさんの2人の娘と妻も立ち会った。ミョンスクさんは兄たちの前で、4歳だった子どものころに戻ったかのように、これまでのことをあれこれと話した。ヒョンシクさんが「昔はミョンスクはあまり話さず、私とばかり話していたのに」と言うと、ミョンスクさんは「私はお兄さんの後ばかり追っていたんですか? それなら、お兄さんが腰にひもをつけて私を連れ回してくれれば良かったのに」と笑った。

ホーム TOP