0.01003%。

 これは、最近人気を集めている新作MMORPG(大規模多人数参加型オンライン・ロール・プレーイング・ゲーム)で、お金を出してアイテム抽選をしたとき、優れものの「伝説級」アバターを当てられる確率だ。こうした伝説級アバターの中でもさらにレアなものが欲しければ、これより低い0.000145%の確率に挑まなければならない。

 別の新作ゲームでは、まだ事情がましな方ではあるものの、レアなゲーム内ペットが欲しいと思ったら0.1%にもならない0.033-0.067%、性能の良い四つ星クラスの装備は0.027-0.054%の確率を克服しなければならない。ガチャを100回行えば、こうしたレアアイテムを100%の確率で当てることはできる。しかし1回の抽選に必要なゲーム内通貨は1000ダイア。ゲーム内のアイテムショップでは、1150ダイアを3万1000ウォン(現在のレートで約2960円。以下同じ)で売っている。レアアイテムを100%の確率で当てるには270万ウォン(約25万8000円)を決済しなければならない計算になる。クエストやイベントなどを通して配布される無料チケットは、ガチャの確定回数から除外される。

 普段ゲームを楽しまない人の視点からすると、こうした確率システムは理解できないだろうが、ユーザーの間では、両ゲームは「ヘジャ(コストパフォーマンスがいい)ゲーム」と呼ばれる。比較対象が、もっと低い確率でアイテム抽選をしなければならない、韓国型MMORPGの代名詞と呼ばれる「リネージュ」シリーズだからだ。

 このところ、韓国のモバイルゲーム市場では地殻変動が起きつつある。数年にわたりグーグルプレイストアやアップルのアプリストアで売り上げ1-2位に君臨してきた「リネージュ」シリーズを抑える作品が、次々と出現しているからだ。ネットマーブルが送り出した『第2の国』は、日本のゲーム会社「レベルファイブ」とスタジオジブリの合作ファンタジーゲーム『二ノ国』を再解釈した作品。原作を基に、まるでアニメーションを見ているかのような高い品質のカートゥーンレンダリング(コンピューターグラフィック)や、ジブリ音楽の代名詞である久石譲が音楽監督を務めるということで、発売前から期待を集めた。また、カカオゲームズの野心作『ODIN:Valhalla Rising』(以下『ODIN』)も、広いオープンワールド(ゲーム内のさまざまな地域を制限なく歩き回れるシステム)と北欧神話に基づいたストーリー、グラフィックなどでゲームユーザーの注目を集めている。

 だが、これらのゲームはどれも、基本的な収益構造はリネージュの枠組みから抜け出せていないというのが現実だ。そういう理由で、ゲームユーザーの間からは、「リネージュライク」という言葉が盛んに出ている。リネージュを一つのゲームジャンルと見なしているのだ。主に有料アイテム販売などの収益構造、ゲームシステムの類似性などにより「リネージュライク」に分類される。NCSOFTが今年5月にリリースした『トリックスターM』は「かわいいリネージュ」、『第2の国』は「ジブリネージュ」、『ODIN』は「北欧リネージュ」だという声も聞く。

 『第2の国』や『ODIN』としては、悔しい面もある。完全に「リネージュライク」と呼ぶほど甚だしくはないからだ。換言すると、確かにゲームのキャラクターを育てる上で確率型アイテムなどが重要な位置を占めており、一部のゲームシステムも似ているが、細かな売り出しの方向性は別のところを志向している-というのが開発側の説明だ。

 開発側の立場からすると、収益構造の土台が「リネージュ」になるのは気楽な選択肢だ。既に市場性を検証済みの方法だからだ。だが逆説的に、こうしたゲームの登場は韓国MMORPGの歴史において、その基準が「リネージュ」になってしまうという限界性を示す。全てのゲームがどれも「リネージュ」に追随するとしたら、それは果たして望ましい在り方なのだろうか。韓国のゲーム業界全体が考えてみるべき問題だ。

 このごろのユーザーは、ちゃんとしたゲームが出ても、「お金をどれだけ使うのか」を作品評価の主たる要素にしている。ゲームにお金を費やさない「無課金ユーザー」が落ち着いて楽しめるゲームがない、というユーザーの不満混じりの態度も続いている。もちろん、ゲーム会社の立場からも、巨額の費用を投じて開発したゲームに適切な水準の収益構造を備えるのは当然のことだが、お金を使わなければ楽しめないゲームの持続性は長くない。結局のところ、固定化した収益構造と閉鎖的な市場性で、韓国ゲームは「内輪のリーグ」を形成しているのではないかと心配になる。

 そうした懸念は、既に数字で現実になりつつある。韓国のモバイルゲームのユーザー層は、短時間で急速に減っていく。ビッグデータ分析プラットフォーム「モバイルインデックス」によると、『第2の国』の場合、サービス開始直後の6月10日の時点では87万人を超える日間利用者数(DAU)を記録していたが、7月2日には23万人台にとどまった。『ODIN』もまた、オープン初日にはDAU59万人を記録したが、週末には41万人に低下した。既に『トリックスターM』がその先例を示してくれている。オープン初日に2大マーケットの人気ランキング1位を達成した『トリックスターM』は、リリースからわずか1カ月ほどでDAUが30分の1に減った。壮大なスタートを告げた各ゲームが、音もなく消えてしまわないことを望むばかりだ。

パク・チヨン記者

ホーム TOP