北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委員会副部長が1日夜「われわれの政府の軍隊は南朝鮮側が8月に再び敵対的な戦争演習を行うか、あるいは大きな決断を下すか鋭意注視する」との談話を発表した。

 とりわけ金与正氏は先月27日に北朝鮮が行った南北間の通信連絡線復元にも言及した上で、このような警告を行った。通信連絡線の復元は南北の高官による会談など南北関係の改善よりも、今月予定されている韓米連合訓練の延期あるいは中止を狙ったものだったことを示唆した形だ。韓米両国は今月中に連合訓練を縮小して実施する方針をすでに決めているが、金与正氏の談話を受け最終的に延期あるいは取り消しとなるとの見方も浮上している。

 金与正氏はこの日、通信連絡線の復元について「南朝鮮の内外ではその意味が拡大解釈されており、北南首脳会談の問題まで世論化しているが、それは軽率な判断だ」「断絶していたものを物理的に再び連結したにすぎず、それ以上の意味付けはすべきでない」と指摘した。金与正氏はさらに「ここ数日、私は南朝鮮の軍と米軍による合同軍事演習が予定通り強行される可能性があるとの不快な報告を引き続き聞いている」「(韓米連合訓練は)北南関係の今後をさらに不確実にするつまらない前奏曲になるだろう」と警告した。

 金与正氏の談話について韓国統一部(省に相当)の元高官は「昨年の共同連絡事務所爆破と一方的な通信連絡線断絶に対する謝罪の一言もなく、何かを施すかのように通信連絡線を復元しておきながら、まさに内政干渉とも言える連合訓練中止の要求を露骨に行っている」と指摘した。

 一方で韓国政府筋はこの日「韓米連合訓練については当初の計画通り参加人員などを縮小し、今月中旬ごろから実施する方向で韓米の軍当局が前向きに検討している」と伝えた。これに先立ち韓国国防部(省に相当)の徐旭(ソ・ウク)長官と米国防総省のオースティン長官は先月30日に電話会談を行い、連合訓練を実施する方法について意見交換した。この電話会談でオースティン長官は「連合防衛態勢を維持するためには連合訓練を予定通り実施すべきだ」との考えを徐長官に伝えたという。今回の訓練は屋外で実際に行うのではなく、コンピューターシミュレーション(模擬訓練)として行われる指揮所演習となる。

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