韓国法務部は19日、韓東勲(ハン・ドンフン)検事長を職務中に暴行したとして、12日に一審で有罪判決を受けた丁珍雄(チョン・ジンウン)蔚山地検次長検事を法務研修院研究委員に異動させた。ソウル高検が昨年10月に丁検事を起訴してから10カ月目での異動だ。法務研修院研究委員は秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官が韓東勲検事長(現司法研修院副院長)の左遷に使ったポストでもある。

 

 法務部は丁検事に対する懲戒処分は下さなかった。一方、2017年に李永烈(イ・ヨンリョル)ソウル中央地検長(当時)は後日無罪が確定したいわゆる「現金封筒夕食事件」で、起訴される前に解任され厳しい懲戒処分を受けた。法曹界からは「懲戒の是非も政権への忠誠度に従って、お手盛りで決められている」との声が漏れる。

 検事懲戒法8条2項は「法務部長官は必要と認められる場合、懲戒被疑者に職務執行の停止を命じることができる」と定めている。強制規定ではないが、法務部はそれに基づき、懲戒を受けるか捜査対象になった検事を職務から外している。李永烈元検事長のケース以外にも、韓東勲検事長は後日捜査当局が嫌疑なしと判断した「チャンネルA事件」の捜査対象になるとすぐ、法務研修院に左遷され、捜査の第一線から外された。

 一方、李盛潤(イ・ソンユン)ソウル高検長は、金学義(キム・ハクウィ)元法務部次官に違法な出国禁止処分が下された事件でもみ消しを図ったとして起訴されたにもかかわらず、高検長に昇進し、現在もそのポストにある。丁検事も暴行容疑で捜査対象になっている間、中央地検刑事1部長から光州地検次長検事に昇進した。

 5月に李盛潤高検長が起訴されると、朴範界(パク・ポムゲ)法務部長官は「起訴されたからといって、全て懲戒を行うわけではない」と述べた。法務部関係者は今回、「(丁検事の懲戒について)特にコメントはない」と語った。法務部は秋美愛前長官が丁検事を暴行罪で起訴した過程の適切性を検討するよう求めた指示が今も有効だとの立場だ。しかし、検察の一部からは「政権の前に整列していれば、昇進はもちろん、法廷で有罪判決を受けても懲戒を受けないのか」という声が高まっている。

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