【新刊】パク・へユン著『森の中の資本主義者』(茶山草堂刊)

 生涯戦い続けて得たものがある。ソウル大学の卒業証書、米国の大学で取った心理学の博士号、光化門にあるきちんとした職場…。しかし著者は、これら全てを捨てて森へと向かった。「こうまでして生きるべきか?」という疑念と、「あるものでやっていこう」という心の声に従った。

 米国シアトル近郊にある移動式組み立て住宅で7年、ネットもテレビもなしに生きている。夏がやって来るとブラックベリーを摘んで食べ、週に2回は全粒粉のパンを焼いて売る。1カ月の生活費100万ウォン(約9万8000円)で家族4人が食べていく。

 『ウォールデン(森の生活)』を書いたソローのように生きていると気取ったり、牧歌的な暮らしを称賛したりはしない。本書は「選択」を語る。「世の中は私に対して無心で、その中でどのような生き方をするかは自分次第だった。重要なのは、その選択の自由を忘れずに取ること」。多くの人がためらう選択を行い、しかし満足している-と著者は語る。「私はなぜこうもつらいのだろうか」と繰り返す人々に、著者の決起を処方する。272ページ、1万5000ウォン(約1470円)。

ヤン・ジホ記者

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