2000年代半ば、米国出張の途中でテレビのスポーツニュースをつけたところ、終わったばかりの全米女子プロゴルフ(LPGA)ツアーで「アナザー・サウス・コリアン(別の韓国人)がまた優勝した」と言っていた。「米LPGAはいつも決まって『サウス・コリアン』が優勝するスポーツだ」というアナウンサーの言い方が興味深かった。この20年間、朴セリ(パク・セリ)と「セリ・キッズ」が築いてきた韓国女子ゴルフ全盛時代は神話だ。4年前に訪韓したトランプ前米国大統領は国会演説で、韓国の奇跡のような経済発展について語る際、女子ゴルフに言及した。同年の全米女子オープンで1位から4位までがすべて韓国人選手であり、10位までの8人が韓国人選手だった。世界の女子ゴルフ界で「サウス・コリアン」という名前は、全米プロゴルフ協会(PGA)ツアーにおける「ゴルフの皇帝」タイガー・ウッズと同等だった。

 ステイシー・ルイスはかつて米国トップの女子ゴルフ選手だった。ところが、いつも韓国人選手に優勝を阻まれた。韓国人選手に阻まれて優勝を逃したルイスはインタビューで、「私はこれだけ韓国人選手20人余りと闘っている」と言った。その言葉は間違っていなかった。米国のネリー・コルダは2年前、韓国の大会に出場して一時首位に立ったが、逆転負けした。コルダは「韓国の選手たちはどうやってこのように難しいコースでうまく打てるのか分からない」と言った。

 韓国女子ゴルフは「虎の穴」と同じだ。韓国系以外の選手が韓国で行われる韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアー大会で優勝したのは、2005年のジュリ・インクスター=米国=のほかにほとんどいない。韓国企業が後援して10代のころから韓国の「虎の穴」を経験したコルダがついに世界ランキング1位になり、東京五輪で金メダルまで手にした。

 今は世界各国が韓国のゴルフ有望選手の育成システムを学んでいる。日本は韓国代表のシステムをベンチマークし、オーストラリア出身のコーチを迎え入れて変わった。バラバラだった日本の選手たちのスイングがコンパクトに変わるにつれ、黄金世代が登場した。サムスンが朴セリを育てたように、タイのシンハー・グループは有望選手に米国留学ビザまで与えた。その米国の大学で成長したタイの選手たちが世界の舞台で恐ろしいほどの勢いで急浮上しつつある。

 一昨日、海外女子メジャー最終戦「AIG女子オープン(全英女子オープン)」で韓国人選手は10位以内に1人も入れなかった。今年のメジャー大会で優勝は皆無だ。これは11年ぶりのことだ。LPGA大会における韓国人選手の優勝も大幅に減った。期待していた五輪でもすべて圧倒された。新型コロナ流行で韓国の有望選手たちが米国進出をためらっているという。韓国ツアーも魅力的だし、米ツアーをうらやましがっていた時代でもない。韓国人がゴルフで特に優れているわけでもない。ほかの選手たちよりも一生懸命やっただけだ。だが、今はほかの選手たちも一生懸命やっている。

閔鶴洙(ミン・ハクス)記者

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