IT産業
漢江でチキン&ビール、松島で銃撃戦…ゲームで「K」をプレイする
韓屋村の広場に集まった子どもたちが、次々と肩に手を置き、「東大門を開けろ」の遊びをしている。漢江沿いの芝生でチキン・アンド・ビールを目の前に、向こう岸の南山Nソウル・タワーを背景に自撮りをしている。韓国車「ポニー」に乗って、「ああおいしいビアホール」「約束茶房」などといった名前の店舗が並ぶ1980年代の辺ぴな街角を走る。
古い韓国映画やドラマの中のシーンではない。どれも最近リリースされたネットゲームの背景画面だ。西洋や日本を舞台にすることが多かったゲームの世界に、韓国の風景が登場し始めた。
8月26日にドイツのケルンで開かれた展示会「gamescom」では、韓国のPearl Abyss社のゲーム『DokeV』が発表された。ゲーム映像には、一人の少年が自転車やスケートボードに乗って都市を走り回りながら友だちと会う様子を収めている。ヘテ(こま犬に似た伝説上の動物)像、ソッテ(先端に鳥の形を付けたさお)といった韓国的な象徴だけでなく済州島の海岸道路や商店、公園などを旅し、冒険しながらアイテムを集めるゲームだ。正式発売前の映像のみの公開にもかかわらず、「幻想的」「驚いた」といった海外の反応が続いている。9月6日現在、動画サイト「ユーチューブ」の動画再生回数は700万回をはるかに超えている。ゲームの中で子どもたちと共に冒険するトッケビ(鬼、妖怪)たちは、韓国説話の中の鉄を作る怪物「プルガサリ」からモチーフを持ってくるなど、韓国的要素も反映している。
累積販売量ベースで世界5位という韓国産のシューティングゲーム『PUBG:BATTLEGROUNDS』にも今年7月、韓国マップが追加された。ゲームスタート時にユーザーを任意に配置するマップの一つは、1980年代の韓国の小都市が舞台。74年に発売された自動車「ポニー」をはじめ、スレートぶきセメント家屋の間に身を隠して相手を攻撃しなければならない。練炭の火をたいた肉料理屋、屋上の部屋、その横の醸造がめの台や袋に至るまで、ディティールが生きている。開発を担当したキム・テヒョン・プロデューサー(PD)は「既存のゲームの中で、韓国を舞台にするケースはほとんどなかった」とし「今回は韓国の風景をそのまま表現したかった」と語った。
■就活生に人気のゲーム会社2位はカカオゲームズ、1位は?
韓国のゲーム会社だけの「愛国心制作」なのだろうか。米国エレクトロニック・アーツ社(EA)が今年の年末にリリースする『バトルフィールド2042』には、仁川の松島国際都市が実際の地名で登場する。松島に存在する架空のITハブ「Kaleidoscope」を舞台に戦争が繰り広げられる-という設定だ。林立するビルの間を戦闘機が飛び、松島セントラルパークで多国籍の軍隊が銃撃戦を展開する。海外のゲームユーザーらの間からは「ビルと湖が共にある様子はSF映画のようだ」「こんな場所が実際に存在するだって?」といった反応が出た。米国の『Call of Duty』や『オーバーウォッチ』など複数人がチームを組み、仮想空間で銃撃戦を繰り広げるシューティングゲームでも、韓国の舞台を実装し始めた。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「防弾少年団や『パラサイト 半地下の家族』など韓流コンテンツが人気を集めたのに伴い、ゲーム内の韓国のイメージが面白みを増す様子として受け入れられているように思う」と語った。
ゲーム内に韓国の風景が自然と受け入れられるにつれ、これを利用した「韓国PR」も成立している。ネイバーが作った仮想空間ゲーム『ZEPETO』では最近、盤浦漢江公園が人気場所トップ5に入った。累積ユーザー数2億人のZEPETOは、アバターがパーティー会場、サクラの並木道など仮想空間を動き回る、いわゆる「メタバース(多人数が参加できる仮想空間) 」ゲーム。昨年2月の海外ユーザー調査で「漢江公園に行ってみたい」という意見が多く、取りあえず韓国観光公社と協業して漢江を作り、実装した。韓国観光公社のイ・ミンギョン氏は「外国人は、韓国ドラマで見たおなじみの活動を望んでいることが分かった」とし「仮想の漢江でユーザーが自撮りやビデオブログの撮影をしてシェアすることで、PR効果を生んでいる」と語った。韓国ゲーム学会のウィ・ジョンヒョン会長は「韓国的な日常の風景が一つの文化コンテンツの座を占めていることを示す現象」としつつ「韓国産ゲームであるにもかかわらず、『リネージュ』のようなケースは無国籍であったり西洋的な視点で占められていたりしたのに対し、今では韓国人の世界観をゲームに盛り込むことができるようになったというのが、ゲームコンテンツの面で現れている最大の変化」と指摘した。
チャン・グンウク記者