「城南大庄洞開発優遇疑惑」の重要人物である南旭(ナム・ウク)弁護士が20日午前に釈放された。検察は逮捕状執行後、48時間の取り調べを経て、勾留状を請求すると予想されたが、「捜査が十分行われなかった」として釈放を決めた。

 ソウル中央地検の捜査チームは20日正午すぎ、南弁護士を釈放したことを明らかにした。18日午前5時すぎに仁川空港で逮捕された南弁護士の身柄拘束期限は20日午前までだった。それまでに検察は南弁護士の勾留状を請求するか、身柄を釈放しなければならない。検察は「在宅のまま拘束しないというより、逮捕時限内に十分捜査が行われず、ひとまず釈放することにした」と説明した。追加捜査後に勾留状の請求を再検討する構えだ。

 司法関係者の間では、2009年の大庄洞開発の初期メンバーであり、1007億ウォン(約98億ウォン)の配当を受け取り、事業全般に深く関与していた南弁護士に対し、検察が勾留状を請求するとの見方が優勢だったが、捜査にこれといった成果がなかったのではないかとの見方が出ている。検察は通常、逮捕状の交付を受けた被疑者について、逮捕時限内に勾留状を請求するケースが大半だ。ユ・ドンギュ元城南都市開発公社企画本部長のケースもそうだった。

 南弁護士は火天大有の大株主キム・マンベ氏と共にユ元本部長から事業上の優遇を受けるため、開発利益の25%(2020年現在で700億ウォン)を渡すと約束し、贈賄と背任の共犯とされてきた。検察はユ元本部長が実質的オーナーではないかと疑われる肥料会社ユウォンホールディングスに南弁護士が35億ウォンを送金したほか、ユ元本部長がキム・マンベ氏から4億ウォンの小切手を受け取ったのは、ユ元本部長に対する賄賂だった疑いがあるとみて、資金の流れを調べたとされる。

 これに先立ち、帰国前に米国で韓国メディアのインタビューに対し、南弁護士は「350億ウォンロビー説」「天火同人1号実質的オーナー論争」などについて、キム・マンベ氏から聞いたという趣旨で話し、「ユ・ドンギュ、キム・マンベ両氏が知っている」「自分は2015年以降、事業から排除された」「『あの方』に言及した録音記録の会話には自分はいなかった」など責任を回避したとも取れる発言をしていた。南弁護士は検察の取り調べでも同様の主張を続けたとされる。南弁護士は「録音記録に登場する『あの方』は李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事とは関係ない」という趣旨でも発言したという。

 司法関係者からは南弁護士と贈賄、背任など容疑が似ているキム・マンベ氏の勾留状請求が裁判所で棄却されたことを考慮し、検察が南弁護士の令状を直ちに請求できなかったとの見方が出ている。キム氏に続き、南弁護士の令状請求まで棄却された場合、捜査が頓挫しかねない。このため、検察が南弁護士の供述以外に容疑を裏付ける決定的な証拠をまだ確保できていないのではないかとする分析も聞かれる。

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