「韓国は日本と同じくらい、経済的に見て暮らしが良くなった」という話に、多くの日本人がうなずく。だが、韓国人同士が集まると、「それでも日本に追いつくのはまだまだ先だ」という話が出てくる。その代表的な例が「高齢者や障害者が暮らすには、韓国より日本の方がはるかにいい」ということだ。先日の韓国の人権団体「全国障害者差別撤廃連帯」の障害者移動権保障関連デモを見て、そうした話は間違っていないと思った。

 日本は交通弱者のための施設整備を韓国より一足早く始めている。日本の国土交通省は2000年に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)を導入した。交通弱者の移動に障壁(バリア)となる段差問題を解消するため、鉄道駅内にエレベーターやスロープを設置した。さらにその後、法律改正を通じて病院・デパート・ホテルなどへも対象が広がった。階段のない低床バスの導入も本格化した。その結果、2017年に東京をはじめ日本全国の地下鉄運営会社10社の駅625カ所のうち624カ所にエレベーター・スロープの設置が完了した。韓国鉄道公社(KORAIL)に該当するJRや各私鉄は2020年基準で一日の利用客3000人以上の駅95%の関連施設整備を終えた。次の整備対象は利用客2000人以上の駅だ。低床バス全国導入率は2000年の0%から2020年には63.8%に増えた。

 だが、日本で暮らしていていっそう強く感じるのは、物理的な設備や制度よりも人々の姿勢だ。駅員やバス運転手が出てきて車いすの乗客を乗り降りさせる時間を当然のこととして待ち、車やエレベーターのスペースをベビーカーにも譲る心のゆとりがある。日本もバリアフリー設備が100%完全とは言えないが、障害者が出勤時間に大規模デモをしたり、有力政治家がそうした人々のデモのやり方を批判したりして反目することはない。早くはないが、コツコツと着実に改善されてきた制度、交通弱者の移動に配慮する人々の心構えがあるからだろう。

 日本政府は2020年に改正された「バリアフリー法」で初めて「心のバリアフリー」という項目を追加した。誰かに助けを求めたり、逆に助けが必要だと思われる人に手を差しのべたりすることにちゅうちょしないよう、心のバリアを崩そうという意味だ。補完や改正を重ねても生じてしまう制度の「すき」を解決できるのは結局、人々のつながり、つまり日本人が好む「絆(きずな)」だという結論だ。

 並々ならぬ推進力を誇る韓国なら、経済分野でもそうだったように、障害者移動施設でもすぐに日本に追いつきそうだ。しかし、「設置率が何%」といった物理的要素よりも重要なのは、韓国人の心のバリアなのかもしれない。新政権は障害者と非障害者の双方にわだかまりと障壁が残らないよう、今回のデモで触発されたさまざまな確執をうまく縫い合わせ、制度整備に着手することを願うばかりだ。

東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員

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