▲1日午前10時ごろ、東京都港区の駐日韓国大使館領事部の前で、観光ビザを申請しようと行列する人々。写真=崔銀京(チェ・ウンギョン)東京特派員

 「栃木県から午前4時の始発電車に乗って朝7時に到着しましたが、もう100人以上並んでいますね」

 1日午前10時、東京都港区の駐日韓国大使館領事部前。太陽が照りつける初夏の陽気の中、日本人400人余りが250メートルほどの長い列を作って立っていた。領事部が同日午前9時から2年ぶりに観光ビザ発給を再開するや、できるだけ早く韓国に行こうという日本人たちが集まって行列ができていたのだ。30代女性のカネコメグミさんは「ビザ発給に4週間ほどかかるそうなので、7月第2週の航空チケットを予約した。とにかく(申請受付)初日の午前中に(ビザを)申請しようと思った」と語った。

 この日、観光ビザ発給申請書類を最初に提出した人は、前日夜7時ごろから領事部の前で徹夜して待っていたという。午前4時50分に到着した韓国の旅行会社関係者は54番目だった。午前9時を過ぎると、待っている人は400人を超えた。領事部関係者は「先着順で200人までしか受け付けできない」と言って、後ろの方に並んでいた人々の一部に帰るように言った。しかし、番号札がもらえなくても「とりあえず待ってみる」と言って列に並ぶ人が後を断たなかった。一日中待っていた人の中には「明日申請する」と徹夜の準備を始める人もいた。こうした人々は午後7時ごろには約30人に達した。

 旅行で韓国に行こうという日本人たちの熱気は予想をはるかに上回るほどだ。新型コロナウイルス流行中にドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』、韓国の男性アイドルグループBTS(防弾少年団)などが日本社会で大きな人気を集め、韓流ブームが広がっていることを証明するものだという評もある。旅行業界関係者は「観光ビザの申し込み手続きは複雑なのに、これほど人が集まるとは思わなかった」と話す。韓国大使館や日本の各地にある韓国総領事館の関係者たちも「未明から数十人も並んでいるのを見て正直言って驚いた」と語った。現在、韓国の観光ビザを取るには、申請書類・パスポートのコピー・証明写真・航空券予約確認書などを用意し、領事部に直接行かなければならず、申し込みから2-4週間待たなければならない。

 韓国観光公社東京支社が先月26-29日に実施したオンライン・アンケート調査(1500人回答)では、「(ビザなし観光再開前でも)観光ビザを取って韓国に行く」という回答が22%に達した。同公社の鄭辰洙(チョン・ジンス)東京支社長は「観光ビザ申請の熱気がこれほどなら、ビザなし訪問再開時に韓国を訪れる日本人観光客は爆発的な数になるだろう」と予想している。

 観光ビザ申し込みのために並んでいた日本人の90%は女性だった。これらの女性たちはK-POPなど韓流文化の熱心なファンで、「男性アイドルグループDKZ(ディーケージー)に日本にもファンがいるということを知らせたい」「韓国のアイドルのソウルコンサートをもう予約した」と速やかなビザ発給を希望していた。ある女性は「BTSのため一日でも早く韓国に行きたくて、6月末から7月上旬までの飛行機のチケット複数予約した」と言った。ビザが出たらできるだけ早く韓国に行こうと、無駄になるチケットが出るのを覚悟して複数の時期のチケットを買ったということだ。円対ウォンの為替レートは2019年に一時100円=1150ウォンまで円高が進んだが、最近は円安により100円=960ウォンとなっている。仁川-成田間の航空券の価格は6万円台まで引き上げられた。しかし、これらの人々は「旅行で韓国に行くのを長い間待っていた」「費用は大きな問題ではない」と語った。

 航空業界は増える韓国行き旅行客の需要に備えている。アシアナ航空は韓日航空路線にエアバスA321(180席)の代わりに座席が多いA330(290席)を投入した。大韓航空は、週に10便運航していた仁川-成田便の増便を準備している。駐日韓国大使館は代行申請などビザ発行手続きを簡素化する案を検討し始めた。未明から約100人が集まった大阪の韓国総領事館は同日午後から訪問予約制を導入した。

東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員

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