▲米第3艦隊所属の揚陸艦エセックス(LHD2)に搭載されたMH60「シーホーク」の無人機撃墜訓練の様子。/ユ・ヨンウォンTV

 26日に韓国領空を引っかき回していった北朝鮮の軍用無人機(ドローン)5機を、韓国軍が1機も撃墜できなかったことが判明する中、ドローン攻撃を防ぐ「アンチ・ドローン」技術に関心が集まっている。韓国の戦闘機・軍用ヘリおよそ20機が投入されて20ミリ機関砲をおよそ100発浴びせたにもかかわらず、捕らえることができなかったドローンは、果たしてどうすれば制圧できるのだろうか。

 最近、台湾軍が自国近隣の領海を侵犯する中国軍所属のドローンを撃墜したニュースが韓国内外の複数のメディアで報じられた。制圧手段は「銃撃」だった。至極当然のように見えるこの迎撃の過程が注目されるようになったのには理由がある。今年8月、台湾軍の哨所上空に中国のドローンが出現した際に兵士たちが示した行動のせいだ。このとき、兵士たちは自分たちの頭上を飛ぶドローンに向かって「石」を投げ、追い払おうとした。

 技術的には「投石」も「銃撃」も、共に「ハードキル(hard kill)」に分類できる。ドローンの機体を物理的に破壊して制圧するやり方を指している。簡単に言えば、ドローンを壊すのだ。ハードキルのやり方には機関砲、自爆ドローン、レーザーなどが主に用いられる。ユーチューブで公開された米海軍のドローン撃墜訓練の動画が一例になり得る。ヘリに銃身を短くしたM2ブローニング重機関銃を積み、ドローンに向けて毎分数十発の銃撃を加える様子を見ることができる。ただし、揺れる機体の中から、反動の大きい機関銃で、動いているドローンを狙うという状況なので、命中率はいささか低いとみられる。

 だが、ハードキルの手段でドローンを撃墜すると、残骸が落ちてきて追加の被害が発生しかねない。実際、今回の北朝鮮の無人機挑発に積極対応できなかった理由について、韓国軍当局は「一部の無人機はマンション地域を低空飛行し、射撃を加えた場合に民家の被害が懸念され、撃墜できなかった」とも釈明した。国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長も「ドローンを捕らえるために撃った弾や薬きょう、機体の墜落によって被害が発生しかねない」と語った。

 こうした理由により登場したのが、「ソフトキル(soft kill)」方式だ。探知したドローンを無力化し、捕獲する技術だ。妨害電波や高出力レーザーを用いて、ドローンが操縦者からの信号や衛星利用測位システム(GPS)の信号をキャッチできなくする「ジャミング(jamming)」が代表的。また、ドローンを制御する固有の周波数を探知して、これを奪取し、強制的に着陸させる「スプーフィング(spoofing)」もソフトキルに含まれる。

 2019年にフランス空軍は、新たなやり方のソフトキル訓練を実施した。ドローン制圧作戦に4羽のイヌワシを動員した。ワシが空中でドローンを発見し、つかんで安全な場所まで持ってきたら、ワシに肉を与えることで、これをドローンの一部だと思うように訓練したのだ。ドローン関連の問題で頭を悩ませていたオランダ警察も、ドローン捕獲を目的としたワシの訓練法を導入した。

 米国では、「トリモチ」を使ってドローンを撃墜する方法も研究している。各種の先端技術を発掘している米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)は昨年、移動部隊防護事業の一環として新概念のドローン迎撃システムのテスト映像を公開し、注目を引き付けた。迎撃機から発射された、べたべたするピンク色の液体で標的ドローンのローターを停止させ、墜落させるというわけだ。

 「網」もドローンを捕らえるのに動員された。英国企業オープンワークスがお披露目した「スカイウォール(SkyWall)」は、網が入った砲弾を発射してドローンを捕獲する。砲弾から切り離された網が広がってドローンを包み、落下傘を利用してゆっくり落とすという法式だ。ドローンから網を発射して相手のドローンを「空対空」で捕獲する「ドローン・キャッチャー(Drone Catcher)」も、オランダのIT企業が開発したソフトキル手法の一つだ。

キム・ミョンジン記者、チェ・ヘスン記者

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