▲韓国国防部(省に相当)の李鐘燮長官(左)と日本の浜田靖一・防衛大臣

 韓国と日本は2018年から国防協力で最大の障害となっていた「海上自衛隊哨戒機レーダー照射問題」の再発防止策を取りまとめることで一致した。双方共「相手側の過失」と主張する点は変わらないが、両首脳による関係正常化の流れに合わせ、是々非々ではなく国防分野においても未来志向的な協力に力を入れることで一致したようだ。さらに韓米日3カ国は北朝鮮のミサイル警報に関する情報をリアルタイムで共有するシステムを年内に稼働させることでも合意した。

 韓国国防部(省に相当)の李鐘燮(イ・ジョンソプ)長官は4日、シンガポールで開催された第20回アジア安全保障会議(シャングリラ会合)で日本の浜田靖一・防衛大臣と会談した後に記者団の取材に応じた。李長官は「哨戒機対立」について「(双方が)再発防止策を取りまとめることに重点を置き、実務協議を皮切りに解決を進めていくことで合意した」と説明した。今回の韓日国防相会談は2019年11月の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防長官と河野太郎・防衛大臣(いずれも当時)による会談以来約3年6カ月ぶりに開催されたもので、5年近くにわたり続いた哨戒機対立が解決に向け動き出した。

 韓日両国による哨戒機対立は2018年12月、「韓国海軍の駆逐艦が日本の哨戒機に向け、攻撃に準ずる行為と見なされる火器管制レーダーを照射した」と日本側が主張したことから始まった。当時、日本側はその証拠として哨戒機内部で撮影した動画を公開したが、これに対して韓国側は「レーダー照射はなく、逆に日本の哨戒機が低空飛行で脅迫した」と反論している。

 その後双方はこれまで歩み寄ることなく、主張も平行線をたどってきた。文在寅(ムン・ジェイン)政権は「低空で飛ぶ日本の哨戒機に追跡レーダーを照射せよ」という対応指針を作成していた。両国共にこの問題を対立解消よりも内政に利用する動きが出始めたため、国防当局による本格的な交流も中断した。しかし尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、国防次官会談が6年ぶりに開催されるなど交流が再開し、問題解決に向け動き出した。また韓日両首脳によるいわゆる「シャトル外交」も復活したことでさらに弾みがついた。韓国国防部の関係者は「韓日首脳は韓日関係正常化が軌道に乗り始めたことを確認し、両国関係をさらに高い次元に発展させることで一致した。これを受け韓日の国防当局も安保協力増進に向け緊密に意思疎通を行うことで合意した」と説明した。

 これに先立ち韓日の国防相と米国のオースチン国防長官は3日、3カ国による国防相会談を行い、北朝鮮の核とミサイルの脅威に共同で対処する方策について協議した。3カ国の国防相は北朝鮮のミサイルに対する探知や評価のレベルを高めるため、ミサイル警報情報をリアルタイムで共有するシステムを年内につくることで一致し、その具体策については今後の実務協議で検討することにした。李長官は「北朝鮮のミサイルに対する警告情報のリアルタイム共有に向け、現在韓米間、そして米日間で運用している情報共有システムを互いに連動させることで一致した」と説明した。

 現在、韓米間、米日間にはリアルタイムで情報を共有するシステムが構築されているが、韓国軍と日本の自衛隊の間ではこのようなシステムは存在しないため、2014年に締結された韓米日情報共有協定(TISA)を活用し、米国を通じた情報共有が行われている。3カ国の国防相は北朝鮮による先日の宇宙ロケット打ち上げについても「国連安保理決議に対する深刻な違反行為であり、これを強く非難するとともに3カ国の協力拡大に加え国際社会とも協力し、断固たる対応を取っていく」と明らかにした。さらに3カ国による対潜水艦訓練や海上ミサイル防衛訓練などを定例化する方針も再確認した。

 李長官は中国の李尚福・国務委員兼国防相とも韓中国防相会談を行い、北朝鮮の非核化と韓半島の平和と安定に向け中国が建設的な役割を果たすよう求めたという。韓国国防部が明らかにした。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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