中国が攻撃的に原子力発電を拡大し、近く原発の稼働規模でフランスを抜き、米国に次いで世界2位に浮上する見通しだ。中国経済が急成長し、電力不足と炭素排出問題が深刻化すると、それを解決するために原子力発電に目を向けたからだ。原発は運営過程で冷却水を大量に必要とするため、主に海岸部に多く建設される。このため、中国が既に稼働しているか新たに建設する原発の大半が韓国に近い沿海部に集中している。専門家は透明な情報公開など原発の運営・安全について、両国政府協力が強化されるべきだと指摘する。

 世界原子力協会(WNA)によると、5月現在で全世界で稼働している原発は436基あり、米国が93基で最も多い。以下、フランス(56基)、中国(55基)、ロシア(37基)の順だ。韓国は25基を運営している。

 原子力発電で上位の国のうち、中国の拡大ペースは圧倒的だ。中国は今も原発23基を建設中だが、これは全世界で建設中の原発(59基)の40%に迫る。現在稼動中の原発数が1、2位の米国、フランスはそれぞれ1基を建設中にすぎない 中国は近くフランスを抜き、米国に次いで原発稼働規模で世界2位になる。また、全世界で政府の建設承認が下りたか資金確保が確定し、15年以内に稼働が可能な建設予定原発は100基あるが、うち中国が45基を占める。十数年後には中国は米国を抜き、稼働原発数が最多になるとみられる。

 中国の原発拡大は電力不足問題を解決し、過度な石炭エネルギーへの依存を抑制するだけでなく、長期的にエネルギー安全保障を確保するためだ。中国は経済成長とともに電力需要が増大し、慢性的な電力不足に苦しんでいる。原発を大幅に増やしたが、電力生産全体に占める割合は約5%にすぎず、依然として約70%(2019年現在)を石炭に依存している。フォーブスは「中国は原発に必要な設備、原子炉技術など全般的な原子力供給網を構築し、エネルギー安全保障を達成するという計画だ」と分析した。

 中国政府は2021年3月、「第14次5カ年計画」を通じ、20年末時点で51ギガワットの原発設備容量を25年末までに70ギガワットに増やすという目標を掲げた。新たに建設する原発の設備規模が1基当たり1.4ギガワットである点を勘案すれば、13-14基をさらに建設することになる。

■中国の原発、大半が韓国に近い東部沿岸に

中国の原発拡大は、韓国の原発産業と輸出に大きな脅威となる。自国での原発建設経験をもとに、中国は破格の資金支援を通じ、原発輸出に乗り出している。現在パキスタン、ルーマニア、アルゼンチン、南アフリカ、イラン、エジプト、スーダンなどで原発を建設しているか輸出を推進している。 WNAは「中国は原発を拡張し、原発部品を含む原子力技術の輸出拡大まで狙っている」と述べた。

 中国が稼働している原発の大半が広東省(14基)、浙江省(11基)、江蘇省(6基)、遼寧省(6基)など東部沿岸に集中している。建設中の原発23基も同様だ。韓国と最も近い山東省にも4基が新規に建設される予定だ。中国経済が東部の沿海部を中心に急速に成長し、電力需要が高まったためだ。中国はまた、東部沿岸に海上原発も建設する計画だ。

 このため、中国の原発安全問題が韓国にとって重要な問題に浮上しかねないとの懸念がある。日本よりも多くの原発を韓国と近い地域で稼働している上、トリチウム排出量など原発運転に関する情報を正確に明らかにしない場合が多いためだ。朝鮮大学原子力工学科の宋鍾淳(ソン・ジョンスン)教授は「中国は原発に関連し、国際基準ではなく自主基準に従っているため、安全基準も異なる側面があり、情報を共有し協力する必要がある。自然災害などによる万一の緊急事態に備え、早期警報システムをつくっておく方策も必要だ」と話した。

カン・ダウン記者

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