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 日本株が1990年代初めのバブル崩壊以降33年ぶりとなる最高値を更新して大幅に上昇している。ロシア・ウクライナ戦争が長期化する中、米中の対立が高まり、台湾を巡る武力紛争の可能性まで議論されるなど地政学的不安が高まると、「安全なアジアの先進国」である日本の価値が高まった格好だ。米中対立で中国を離れた資金がアジア第2の大国である日本に流入しているという分析もある。

 日本を代表する株価指数である日経平均は5日、前週末比2.2%高の3万2217円で取引を終えた。今年に入って最大の上げ幅だ。日経平均が3万2000円を超えたのは1990年7月以来のことで、年初来の日経平均の上昇率は25%で、韓国総合株価指数(KOSPI、18%)、中国(上海総合指数、0%)、米S&P500指数(12%)を大きく上回る。

 シンガポールの銀行が最近のリポートで「再び昇る太陽」と表現した日本株の原動力は、皮肉にも冷戦終結後最悪の状況に突き進む国際情勢だ。半導体などをめぐる米中貿易紛争、台湾に対する中国の武力行使の可能性、ロシア・ウクライナ戦争を巡る欧州と反欧州の対立など国際社会で同時多発的な悪材料が存在することが日本経済には有利に作用している。 野村ホールディングスのホールセール部門長を務めるクリストファー・ウィルコックス氏は最近、フィナンシャルタイムズ(FT)に対し、「中国を巡る地政学的不確実性は市場規模が大きく競争力のある企業が多い日本にはむしろ有利に働く。日本は今後5-10年間、投資家にとって最優先の選択肢になるだろう」と指摘した。仏投資銀行クレディ・アグリコルは最近、日本の経済成長の勢いや資金流入のペースに基づき、日経平均が3万5000円まで上昇する可能性があると予想した。

 海外の悪材料が日本の好材料として作用した代表的な分野が半導体だ。米中はIT産業の中枢である半導体分野で互いに制裁を行い衝突している。ファウンドリー(受託生産)業界1位の台湾積体電路製造(TSMC)がある台湾は、中国の脅威に持続的に苦しめられ、魅力を失っている状況だ。半導体を巡る不安が高まると、先端技術を備えながらも地政学的に安定した日本の長所が目立ち、世界的な半導体企業による工場新設発表が相次ぎ、日本経済に対する期待感を高めた。バークシャー·ハサウェイのウォーレン·バフェット会長が1-3月にTSMCの株式6億1770万ドル(約862億円)相当を売却し、日本株を大量に買い付け、「日本は台湾より良い投資先だ」と言ったのも同じ脈絡と言える。

 日本政府も米中紛争を自国に有利な流れに持っていくため、いち早く動いている。岸田文雄首相は先月、海外の半導体メーカー、研究機関7社の代表と会談するなど積極的な歩みを見せる一方、米半導体大手マイクロンテクノロジーに2000億円規模の助成を行い、工場誘致に乗り出したのが代表的だ。韓国外大のイ・ジピョン特任教授は「米国は一時、日本を半導体分野の競争相手と見て貿易制裁をかけたが、主要な協力先だった台湾の情勢が最近悪化し、日本との共助関係を露骨に強化している。『米国の半導体パートナー・日本』として立場が固まり投資家の関心も高まっている」と話した。

 ロシア・ウクライナ戦争の長期化で不安が高まる中、先月広島でG7サミットを成功裏に開催し、「安全な投資先」というイメージを国際社会に植え付けたことも日本への資金流入をけん引したとみられる。FTは「ウクライナのゼレンスキー大統領の訪問まで引き出したG7サミットを通じ、日本は西側自由陣営の求心点であると同時に、安定して確実なサプライチェーンハブというイメージの構築に成功した」と評した。

 日本の株価上昇は、4月以降続いた外国人の買い越しが主導した。4-5月の2カ月間、外国人の買い越し額は6兆1500億円に達した。外国人投資家が日本をそれほど魅力的だと判断し、投資を増やしていることを示している。

 日本経済と株式市場は以前にも世界が分裂する時に成長し、平和期に停滞するパターンを見せてきた。冷戦がピークに達した1960-80年代、日本経済は急成長し世界2位の経済大国に浮上したが、旧ソ連崩壊で冷戦が終結した90年代初めごろからバブルが崩壊し、停滞の泥沼に陥った。89年末、3万9000円に迫り頂点に達した日経平均は、2009年には7000円台まで下落したが、米中貿易紛争が本格化した21年ごろから反発を始めた。FTは「好況期には弱点と見なされることもある日本の低成長と停滞が今のような混乱期には長所ととらえられている」と伝えた。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)、リュ・ジェミン記者

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