忠北大薬学部のパク・イルヨン教授が「処理済みの福島原発の汚染水を持ってきたら、放出濃度に薄めて飲む」「科学で判断する事案を主観的な感情で歪曲(わいきょく)するな」と言った。韓国の政界などが福島原発の汚染水海洋放出の危険性をあまりにも誇張しており、恐怖心をあおっていると主張したものだ。

 パク・イルヨン教授はソウル大学で学士号・修士号・博士号を取得し、1995年から忠北大薬学部に在職している。同大学で薬学部長を務めたほか、大韓薬学会放射性医薬品学分科学会長も務めている。英オックスフォード大学のウェード・アリソン名誉教授が先日、「福島汚染水を多核種除去装置『ALPS(アルプス)』で処理した水を飲むことができる」と発言したが、韓国の学者がこのような宣言をしたのはパク・イルヨン教授が初めてだ。

 これは、パク・イルヨン教授がこのほど、生物学研究情報センター(BRIC)の掲示板で実名とメールアドレスを明らかにした上で、掲載した長文の一部だ。BRICは生物学分野における国家競争力確保のため、韓国科学財団と浦項工科大学の支援により1996年に設立された。 2005年に黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大学教授=当時=の胚性幹細胞(ES細胞)論文ねつ造事件が発覚した際、韓国の生物学研究者たちがBRICの掲示板を利用してさまざまな問題点を指摘し、論文ねつ造が事実であることを明らかにした場でもある。現在も研究者たちはBRICを情報収集の場として活用しており、記名コラムなどで意見交換を行っている。

 パク・イルヨン教授は「病院の核医学科で使われる放射性医薬品の特性と人体への影響を30年近く『放射性医薬品学』という科目で研究し、講義してきた」「この文章を書いている理由は、国民感情の役にも国の経済の役にも立たない、だからといって福島汚染水の放出を防ぐ実質的な手段も見えない、この消耗するばかりの論争が、放射線に関する科学とはかけ離れた主観的見解によって増幅され、国民の恐怖心ばかりを膨らませているためだ」「政府の肩を持つためにこの文章を書いているわけではない」と述べた。

 また、「汚染水を処理した後、トリチウム(三重水素)を放出濃度である1リットル当たり1500ベクレル未満に薄めるなら、この水を1リットル飲んでも私が受ける実効線量は0.000027ミリシーベルトだ」「これは、バナナを1本食べる時、バナナに含まれるカリウム40などによって私が受け取る実効線量0.0001ミリシーベルトの約4分の1だ」と説明した。

 そして、「日本政府の発表通り、ALPSでその他の核種を除去した処理水を、トリチウムで1リットル当たり1500ベクレルになるよう、約487倍の上水で希釈した水があれば、飲むことができると判断される」「そのような場が設けられれば、私は1-2杯ためらうことなく飲む」とも述べた。さらに、福島汚染水全体に含まれるトリチウム量の780テラベクレルを想定したとしても、「北太平洋の海水で希釈されるので、韓国近海に達する際の濃度の水なら、一生飲んでも問題ない」「人は既にそれより高い放射線量が含まれている飲食物を毎日食べたり飲んだりしている」と述べた。

 その上で、「パーキンソン病を診断するPET検査をするため、放射線同位元素のフッ素18をDOPAという物質に置き換えて入れた放射性医薬品を静脈注射する場合、患者が1回当たりに受ける実効線量は9.25-18.5ミリシーベルトだ」「この実効線量がかえって患者のがんを誘発するなら、どの医師がパーキンソン病が疑われる患者にPET検査をするだろうか」と問い返した。

 パク・イルヨン教授は最後に「今は韓国国民の食卓と水産・飲食業界のために事態を収拾しなければならない時だ」として、日本政府と東京電力が諸般の試験成績資料を透明性をもって公表し、周辺国が要求した際には試料の直接採取を許可して、ダブルチェックを可能にすべきだと主張した。それと合わせて、「政府発表や専門家の意見が信じられない時代なので、私がしてもいいし、ほかの誰がしてもいいが、放出濃度の希釈水に特に問題がないという事実を本当に知っている人が立ち上がって、その水を直接飲むことによって、韓国国民の食卓に安心をもたらすことが切実に求められる時だ」と述べた。

ムン・ジヨン記者

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