後半10分から韓国の選手たちの動きが硬くなった。19日、中国との強化試合で鋭い突破を見せていた24歳以下(U-24)韓国代表チームのコ・ヨンジュン(21)=浦項スティーラース=が中国のDFのタックルにより倒された後、相手の体重でヒザが圧迫され、担架に乗せられた後のことだ。だが、ホイッスルは鳴らなかった。このように激しくタックルされても反則にならなかったため、選手たちは勝負どころではなく、試合中ずっと激しいタックルに神経をとがらせていた。結局、韓国は0-1で負けた。

 韓国は15日と19日、中国と2度にわたるアウエーゲームで激しいタックルと戦わなければならなかった。反則数は2試合で15-15と同じだったが、警告は2-4と中国の方が2つ多く、見えない反則はさらに多かった、と不満を韓国は抱えている。

 第1戦では、マルチゴールを決めて韓国を3-1の勝利に導いたFWオム・ウォンサン(24)=蔚山現代=が中国の激しいタックルにより足首を痛め、右足首の靱帯(じんたい)損傷でギプスシャーレをして予定より早く帰国した。第2戦はコ・ヨンジュンだけでなく、趙英旭(チョ・ヨンウク、24)=金泉尚武FC=も肩を痛めてピッチを離れた。2試合で3人の選手が負傷したのだ。

 中国の選手たちはタックルだけでなく、ピリピリした様子で韓国の選手たちを押したり、宙で腕を振り回したりするなど、威嚇するようなプレーを終始していた。第2戦で積極的に試合を展開しようとした鄭優営(チョン・ウヨン、23)=SCフライブルク=、コ・ジェヒョン(24)=大邱FC=も中国のタックルで倒された。

 予想されたやり方だった。中国のラフなサッカーは昨日今日のことではない。そのため、大きな大会前はほとんどの国が中国との強化試合を避ける。黄善洪(ファン・ソンホン)U-24韓国代表監督は現役選手だった1998年のフランスW杯直前、中国との強化試合で右ヒザ十字靭帯を切り、W杯に出場できなかった。フランスのFWジブリル・シセは2006年のドイツW杯前、中国との強化試合でタックルされてすねの骨を折られ、やはりW杯に出場できなかった。今年3月のニュージーランドとの強化試合2連戦でも、中国A代表チームはこれ見よがしにタックルを乱発した。中国のラフなサッカーはA代表も年齢別代表も同じだ。

 それにもかかわらず、大韓サッカー協会が中国との強化試合を推進したのには二つの理由があった。第一に、9月に開催される杭州アジア大会で金メダルを狙うU-24韓国代表チームが現地に慣れるためだ。事実、2度の強化試合が行われた中国浙江省の金華スタジアムは杭州アジア大会男子サッカー競技場の一つだ。第二に、組織力強化のためだ。アジア大会では中国を含め激しいサッカーをする国が多いが、これを事前に経験した上で息を合わせてプレーしようという意図だったというのだ。

 それでも、「アジア大会前の事実上最後の強化試合としては不適切な目的だった」という意見が大多数だ。実際に、今回の強化試合2連戦ではアジア大会に出場する最終エントリーの選手を選ぶどころか、中核の3選手が負傷するという事態になった。精密検査を控えている3選手がアジア大会で復帰できるかは未知数だ。また、ラフなサッカーにどう対応するかという戦略も黄善洪監督は見いだせていない。ロングパスに続くヘディングという攻撃戦術ばかりだった。

 中国は「恐韓症」を乗り越え、大いに盛り上がった。中国メディアの「新浪体育」は20日、「中国の勝利を数万人のファンが見守った。中国は後半の韓国の逆襲に慌てず、大きなミスもなく着実にプレーした」と評価した。韓国が同年代(23歳以下)の直接対決で中国に敗れたのは2012年12月以来11年ぶりのことだ。対戦成績は12勝2敗3分。杭州アジア大会は新型コロナウイルス感染症の世界的流行で1年延期され、今大会限定で24歳まで出場年齢が引き上げられた。

 しかし、黄善洪監督は「予防注射」を受けたと考えている。黄監督は試合終了後、「アジア大会でもこれくらいのラフプレーなどはあり得る。それに適応するのも前向きだと思う」と言った。だが、負傷者については無念の思いを口にした。黄監督は「負傷者が多く出たのは残念だ」「大きなけがではないことを祈るばかりだ」と語った。

イ・ヨンビン記者

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