世界2、3位の経済大国である中国と日本は人民元と円が急落していることを受け、市場介入に乗り出している。両国が通貨安を防ぐために積極的な介入に乗り出したのは昨年9月以来約9カ月ぶりのことだ。

 輸出競争力を高めるために意図的に自国通貨安に誘導する「為替戦争」とは異なり、自国通貨の劣勢を防ぐための「為替防衛戦」の様相を呈している。両国は昨年9月ごろにもドル高を抑制するために介入に動いた経緯がある。 しかし、最近の人民元安と円安は、昨年とは異なり、主要通貨に比べ、対ドルで自国通貨の価値がはるかに下落しており、警戒感が高まっている。

■自国通貨安に介入する中・日

 ブルームバーグによると、27日現在でドル・人民元相場は1ドル=7.220元で、今年1月の元高水準(6.701元)から約8%下落した。中国政府は通常、人民元為替レートの防衛線を「破七」つまり、1ドル=7元割れと見ている。しかし、すでに1カ月以上7元を割り込む元安となっている。これに対し、中国政府が刀を抜いた。ロイター通信によると、最近中国の国有銀行はオフショア市場でドルを売り、人民元の下落を防いでいる。中国人民銀行(中央銀行)も人民元の中心レートの下げ幅を26日、27日の2日連続で市場予想より低く抑えた。オフショア市場で元安を抑えるための措置だ。

 円安は人民元よりもはるかに急だ。27日のドル・円相場は1ドル=143.88円まで円安が進んだ。1月中旬(127.88円)から約5カ月で約13%下落したことになる。日本政府は低成長とデフレの打開に向け、円安をある程度容認してきた。しかし、心理的抵抗線である「150円」が迫ると積極的に口先介入している。財務省の神田真人財務官は26日、「足元の動きは急速で一方的とみられる。高い緊張感をもって注視するとともに、行きすぎた動きには適切に対応する」と述べた後、28日にも同様の趣旨の発言を行った。

 日本は昨年9月、円が対ドルで145円まで下落すると、1日で200億ドル以上のドル売り介入を実施したことがある。日本政府が実際にドル売り介入を実施したのは1998年以来24年ぶりのことだった。昨年9月、中国も外国為替フォワード取引に準備金比率をゼロから20%に引き上げるなど、為替防衛に積極的に乗り出した。

■韓国も無風地帯ではない

 昨年下半期の人民元・円の劣勢は米国の急激な利上げに伴うドル高現象に起因した側面が大きかった。しかし、今年は状況が違う。米国の利上げサイクルが最終局面に入り、主要6通貨と比較したドルの価値(ドルインデックス)は昨年9月と比べて10%以上下落した。対主要通貨ではドル安だが、人民元と円の価値がそれよりも大幅に下落していることになる。

 専門家は最近、中国と日本の通貨安には米国の金融政策への逆行や景気低迷への懸念があると分析する。両国は低成長とデフレへの懸念から、米国とは違って金利を上げられずにいる。中国は政策金利の役割をする最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を昨年8月以降、年3.65%(1年物)に据え置いたが、今月0.1%ポイント引き下げた。日本も16年以降、マイナス金利(-0.1%)政策を続けている。米国との金利差が拡大するほど、海外への資金流出で通貨安の可能性が高まる。さらに中国は、経済活動の再開以後、景気回復が遅れている。

 一方、韓国も米国との金利差が大きくなり、輸出不振と銀行債権の延滞率上昇など景気低迷のシグナルが点灯している。現在ウォンは相対的に安定しているが、中国、日本による為替市場介入の影響がない「無風地帯」にあるとは言えないとの指摘がある。資本市場研究院のファン・セウン上級研究委員は「来月、韓米の金利差が2ポイントに拡大すれば、為替レートが下落する恐れがある。1ドル=1400ウォンの水準を付ける前に先手で対応をすることが必要だ」と指摘した。

金智燮(キム・ジソプ)記者

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