▲10日午前、京畿道楊平郡庁前で開かれた「ソウル~楊平高速道路事業再推進汎国民対策委員会発足式」で参加者がスローガンを叫んでいる。/キム・ジホ記者

 韓国野党・共に民主党が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏一族による利権疑惑を指摘しているソウル~楊平高速道路の代案ルート案(終点・楊平郡江上面)は文在寅(ムン・ジェイン)政権が選定した民間業者が2カ月間の妥当性調査を行い提示した案であることが10日までに明らかになった。 複数の民間企業は当時、経済性と環境性、住民に受け入れられるかなどを検討し、楊西面を終点とする既存ルート案を代替ルート案に変更することを検討すべきだと国土交通部に報告した。野党が主張するように、尹錫悦政府が路線変更を指示したわけではないことになる。

 国会国土交通委の幹事を務める国民の力の金汀才(キム・ジョンジェ)議員によれば、国土交通部は文在寅政府下の2022年1月から「ソウル~楊平高速道路妥当性調査」を推進、21年4月に予備妥当性調査を通過した原案を含め複数の代替ルート案の検討を始めた。妥当性調査は予備妥当性調査を受け、最適な路線を具体的に選定するために必要となる手続きだ。

 国土交通部は同月、妥当性調査の委託に向けた入札公告を出し、同年3月に設計専門業者であるトンヘ技術工事、キョンドンエンジニアリングに調査を委託した。両社は約2カ月間の検討の末、昨年5月19日に事業妥当性などを理由に現在議論になっている路線を代替案として国土交通部に報告した。検討期間中に新政権が発足し、国土交通部による報告は尹錫悦政権で初代の国土交通部長官である元喜竜(ウォン・ヒリョン)長官の就任3日後に行われた。国土交通部は「民主党の主張に従えば、元長官が就任3日後に文政権で選定された業者に圧力をかけ、路線を変更したことになるが、常識的ではない」と指摘した。業者側は「政治的考慮のようなことは関知しない。技術者の視点から判断した。外圧などは受けていない」との立場だという。民主党はこれまで、尹錫悦政権発足後の昨年7月、金建希氏が保有する土地付近に終点が変更する代替ルート案が初めて登場したと主張してきた。

 業者は代替ルートへの「終点部路線帯の変更検討」を国土交通部に要請するに当たり、南漢江を2回越える原案の問題点として、「特別保護区域通過時に強化された汚染水排出規制基準が適用される」「防音設備など鳥類保護対策が必要」「地域住民の苦情および工事費がかさむこと」を指摘した。その上で、南漢江を渡る回数が1回だけとなる代案ルートを検討する必要性として「上水源特別保護区域の通過が少ない」「環境破壊の最小化」「アクセス性を向上させるためのIC追加設置」などを挙げた。

 これは予備妥当性調査を通過した原案に楊平郡内で高速道路にアクセスできるICがないため、民主党所属の楊平郡守と地域委員長などが「江下ICを江下面に設置してほしい」と主張した地元世論を反映したものだ。原案のルートは江下面を通過しない。民主党の要求通りに江下ICを設置するには代替ルートへの終点変更が避けられないという民間業者の判断を受け、国土交通部は検討を進めた。

 代替ルート案は5~6年前からすでに地域で公然と議論されてきた。17年1月、楊平郡の地元メディアはソウル~楊平高速道路が国土交通部の「高速道路建設5カ年計画」に含まれると、「中部内陸高速道路の南楊平ICと接続する案も議論されている」と報じた。これは現在の代替ルート案と似ている。

 18年には大宇建設がソウル~楊平高速道路を民間資本事業として推進しようとする過程で、今回の代案ルート案に近い案を検討した。江下ICを設置し、江上面経由で中部内陸高速道路とのJCTを設ける案だ。当時、京畿道驪州・楊平選出の鄭柄国(チョン・ビョングク)元議員は「問題になった路線はすでに18年に建設会社が民間資本で推進すると提案した案だ」と述べている。国民の力の金汀才議員は「代替ルートは文在寅政権期から推進されてきたもので、国策事業に障害だけをもたらした民主党の主張は真っ赤なうそだ」と指摘した。民主党真相究明タスクフォース団長の姜得求(カン・ドゥック)議員は「我々が把握しているところでは、これまで郡守がが変わっても楊西面を終点とする原案は一度も変わったことがない」と述べた。

朴国熙(パク・ククヒ)記者、キム・テジュン記者

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