▲共に民主党の金宜謙(キム・ウィギョム)議員

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がロシアと戦争中のウクライナの首都キーウを電撃訪問したことについて、野党・共に民主党の金宜謙(キム・ウィギョム)議員が17日、「祖国と民族の運命を『宮坪地下道』に押し込む行為」と発言した。忠清北道清州市内の宮坪地下道では今回の豪雨による水害で同日までに13人が死亡し、現在も捜索が行われている。惨事の現場を大統領攻撃の比喩の対象として利用したのだ。これが物議を醸すと、金宜謙議員は同日午後、「尹大統領の対ロシア政策の危険性を強調しようとする気持ちが先走り、ご遺族の心情を察することができなかった」「ご遺族に謝罪申し上げる」と述べた。共に民主党は今回の尹大統領のウクライナ訪問について、「ロシアと敵対するもの」「米大統領のまね」と激しく非難している。与党は「6・25戦争(朝鮮戦争)時、ほかの国々がそのように考えたならば、大韓民国は存在しないだろう」と批判した。

 共に民主党の国防委員会・外交統一委員会・情報委員会に所属する議員らは同日、国会で記者会見を開き、「国の災害時にいなかった尹大統領がウクライナに突然現れたのは、大韓民国の安保を危機に陥れかねない行動だ」と批判した。尹大統領がウクライナを訪問したことが、ロシアを敵にし、韓半島(朝鮮半島)の危機を高める恐れがあるという意味だ。情報委員会所属の金宜謙議員は会見後、記者団に対し、「これまではロシアと中国の銃口は太平洋側に向かっていたが、尹大統領が(ウクライナで)述べた言葉と行動により、その銃口を韓国に向けかねなくなった」と言った。その上で、「中国とロシアはまるで氾濫する川のようだ」と述べ、今回の首脳外交を「水害」に例えた。

 同日、共に民主党国防委員会・外交統一委員会・情報委員会に所属する29人が出した共同声明書には、李在明(イ・ジェミョン)代表とパク・クァンオン院内代表の名前もあった。声明には「(朝鮮戦争時)ソ連を構成していたウクライナは我々に痛みと傷跡を残した」という言葉もあった。当時、ソ連に併合されていたウクライナも6・25南侵(1950年6月25日に北朝鮮が38度線を越えて朝鮮戦争が始まったこと)をけしかけた責任があるということだ。これに対しては、「このような論理なら、日本の植民地だった韓国にも日本が起こした太平洋戦争の責任があるということか」という指摘が出ている。

 共に民主党所属の任鍾晳(イム・ジョンソク)元大統領秘書室長はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェイスブック」で「いい加減な理念外交と、とんでもない米大統領のまね」と、崔宰誠(チェ・ジェソン)元政務首席秘書官は「無理な訪問」「無駄な訪問」と批判した。韓国陸軍大将だった金炳周(キム・ビョンジュ)議員は「(ウクライナと連帯することは)逆説的に言えば、戦争イニシアチブ(主導権)に参加するという意味だ」「国益の次元で見て、決して役に立たない。失うものの方がはるかに多い」と述べた。国会副議長を務めた金相姫(キム・サンヒ)議員は「北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席したことも理解できない。NATOが我々を守ってくれるのだろうか」と言った。

 共に民主党の主張は、中国国営メディアの批判と重なる部分がある。中国共産党機関紙・人民日報系列の英字紙「グローバル・タイムズ」は「ロシアとウクライナの紛争で、韓国は米国が主導するNATO側に完全に立ったということだ」「今回の措置で韓露関係は悪化するだろう」「中国との関係も緊張状態になりかねない」と遠まわしに警告した。6・25戦争時はNATO加盟国30カ国のうち11カ国が参戦し、兵力や医療物資などを支援した。

 共に民主党は、韓国国内で集中豪雨による被害が相次いだ状況で尹大統領が帰国を遅らせたことが「コントロールタワーの空白」という状況を生み出したとも言った。権七勝(クォン・チルスン)首席報道官は「この12年間で最も多くの人命被害が出ており、天気予報でも(豪雨が)予報されていたのに、大統領と与党代表、主な長官ら全員が不在という状況になった」「『国家がない』ということを被災者たちは実感しただろう」と述べた。

金慶和(キム・ギョンファ)記者

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