▲姜南焄・元ホームアンドショッピング代表/朝鮮日報DB

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の「標的捜査」で起訴され、4年間にわたる裁判の末に無罪が確定したホームアンドショッピングの姜南焄(カン・ナムフン)元代表が7月31日、死去した。68歳だった。姜代表は2021年5月の大法院判決で裁判の「くびき」から抜け出した後、胆道がんが見つかり、闘病生活を送っていた。

 姜元代表は李仁圭(イ・インギュ)弁護士の高校の同窓生だ。李弁護士は大検察庁中央捜査部長を務めていた当時、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が関与した「朴淵次(パク・ヨンチャ)事件」の捜査を指揮した人物だ。文在寅政権発足で権力を握った親盧陣営の「公敵」の一人だった。姜元代表はホームアンドショッピング設立初期に友人の李弁護士を社外理事(社外取締役)に迎えたこともある。17年11月、姜元代表に対する警察の捜査が始まると、「李仁圭を捕まるための強引な捜査だ」という指摘が出ていた。

 最初は17年10月の国会による国政監査だった。民主党の権七勝(クォン・チルスン)議員が「ホームアンドショッピング採用不正」疑惑を指摘した。李弁護士の依頼で李弁護士の妻の親族がホームアンドショッピングに採用されたという内容だった。

 1ヵ月後の17年11月、警察がソウル市江西区にあるホームアンドショッピング本社を捜索し、捜査が本格化した。当時警察関係者は「李弁護士の依頼で(ホームアンドショッピングに)人事上の不正があったかどうかを捜査する」と説明した。当時文在寅政権では青瓦台の民情首席秘書官がチョ・グク元法務部長官、民情秘書官が親盧勢力の中心的存在である白元宇(ペク・ウォンウ)元議員だった。

 警察周辺からは「青瓦台の意向が働いた」という話が広まった。李弁護士も今年3月に出版した回顧録「私は大韓民国検事だった」で「(ホームアンドショッピングの大株主である)中小企業中央会のある幹部から『青瓦台民情首席秘書官室から李弁護士に関連する資料を全て提出してほしい』という話を聞いた」と明かした。

 警察の捜査着手について、法曹界は「警察の捜査権限を拡大する『検察・警察の捜査権調整』を控え、警察首脳が功績を上げようとしたものだ」と分析した。当時の警察庁長は朴槿恵(パク・クンヘ)政権で任命され留任していた李哲聖(イ・チョルソン)氏だった。

 警察は18年3月15日、姜元代表を起訴相当で送検した。11年と13年の2回にわたり社員公募を行い、10人を不正採用した容疑だった。事件の発端となった李弁護士の親族の不正採用疑惑は手がかりをつかめず立件さえできなかった。

 姜元代表の辞任を迫る圧力も強まった。送検前日、ホームアンドショッピングの政府側の社外理事3人が姜元代表解任のための理事会(取締役会)招集を試みるなどした。ホームアンドショッピングは中小企業の商品を扱う通販業者として11年に設立され、中小企業中央会が大株主(出資比率32.9%)だった。中小企業中央会出身の姜元代表は12年7月代表に就任し、売上高を初年度の7068億ウォンから16年には2兆ウォンに引き上げた。それでも姜元代表は18年3月21日に任期を2年以上残して辞任した。当時姜元代表は「株主と理事(取締役)の間の不必要な誤解を防ぎ、(会社に)負担をかけないため」と理由を説明した。

 18年10月に在宅起訴された姜元代表は20年6月、一審で有罪となり、懲役8月の判決を受け収監された。しかし、同年11月の二審では無罪となった。二審で裁判所は「捜査が不十分で、(姜元代表が)有形・無形の代価を受け取ったかどうかは(提出された)証拠だけでは分からない」と判断した。続いて大法院で21年5月に無罪が確定した。

 その後、姜元代表は胆道がんが見つかった。遺族は「故人は捜査と裁判の間、一度も悔しいとは言わず、一人で悩んでいた」とし、「企画捜査を受けても、無罪が確定するまで悔しさを訴える方法がなくもどかしいばかりだった。結局昨年8月に胆道がんステージ4の診断を受けた」と話した。

 李弁護士は今年4月、本紙のインタビューに対し、「姜元代表は当時受けたストレスで病気になり、生死をさまよう闘病生活を送っている」とし、「『文在寅政権には民間人査察のDNAがない』と言ったその偽善が憎い」と語っている。

ヤン・ウンギョン記者

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