▲左2人目から韓国海軍潜水艦司令官のイ・スヨル少将、日本の海上自衛隊・潜水艦艦隊司令官の俵千城海将、米第7潜水艦戦団長のリック・セイフ准将/米国防総省

 今月18日(現地時間)に開催予定の韓米日首脳会談で発表される共同声明に「韓国と日本がそれぞれ攻撃を受けた場合、相手国と協議を行う義務(duty to consult)を持つ」との文言を米国が望んでいることが分かった。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が1日に報じた。米国は韓日両首脳を米大統領の別荘であるキャンプ・デービッドに招待するなど配慮を進めているが、その際に北朝鮮の核とミサイルへの対応に向けた軍事協力の次元を超える「韓米日安保共同体」を要求しているという。韓日の軍事協力をどのレベルとするかが今回の首脳会談で大きなテーマあるいは争点になりそうだ。

 FTは4人の情報筋の話として「韓国と日本は日本の植民地支配による不安定な関係という歴史を持つが、ホワイトハウス(米国)は北朝鮮や中国に対する抑止力構築の次元から二つの太平洋同盟国をさらに近づけようとしている」とした上で上記のように伝え「韓日は共通の弱みを持つ」とも指摘した。韓米日は今回の会談で首脳間のホットラインや対潜水艦・海上遮断など合同軍事訓練の拡大、ミサイル防衛とサイバー・経済安全保障分野における協力強化などについても話し合うという。

 FTは「今回の共同声明は正式な集団防衛条約にはならないだろう」としているが、ある外交筋は「単なる宣言的な文言であっても、それは『相手国の安全保障上の脅威を自国への脅威と見なす』という意味になり、韓日軍事同盟とも考えられることから波紋を呼びそうだ」と予想した。韓米両国は1953年に相互防衛条約を締結し、有事に米軍の介入を保障している。また米日も1951年の安全保障条約で「日本が武力攻撃を受けた場合、両国が共同で対応する」と定められている。その一方で韓日間では有事に相互の防衛を保障する協定などはないため、この種の問題が表面化するたびに両国では歴史問題もあって大きな波紋を呼んだ。

 この問題で韓日両政府はコメントを控えている。韓国大統領室のある幹部は本紙の取材に「(軍事同盟は)あまりに行き過ぎた概念」と指摘し、韓国外交部(省に相当)も「まだ議論が始まったばかりの段階で、首脳会議開催の趣旨に見合った適切な文書を発表する問題については協議中だ」と伝えた。日本政府は匿名の関係者がFTの取材に「米日条約によれば、第3国による『集団防衛』を成立させるのは難しい」とコメントした。このように韓日両国では慎重論が支配的だが、それでも米国は積極的だ。米国防総省のパット・ライダー報道官は1日「われわれは地域の平和と安定を保障する共同の努力とこれに関する円滑な意思疎通を後押しするため、全ての可能なことをやる」と述べた。

 米国が韓日の軍事協力拡大を望む背景には中国をけん制したい意図がある。北朝鮮の核とミサイルへの対応はもちろん、中国との覇権争いで勝機をつかむには、インド太平洋地域の主要な同盟国である韓国と日本が有機的に連携することが重要になっているからだ。今回の会談でも中国が最も神経質になる台湾、南シナ海、東シナ海などの問題をはじめ、脱中国に向けたサプライチェーンの強化なども話し合われる見通しだ。そのため韓日による軍事協力の拡大は今回の会談では宣言的なレベルで終わったとしても、話し合いはその後も継続して続くとの見方が有力だ。ジャーマン・マーシャル財団(GMF)アジア・プログラムのディレクターであるボニー・グレーザー氏は「韓米日が共同でミサイル防衛訓練やミサイル警戒情報の共有など、安全保障分野での協力を強化することが中国の安全保障環境に深刻な支障になっている」「バイデンが力を入れている複数の協力体の中で、韓米日によるものが中国にとって最も懸念すべきものだ」の見方を示した。

 外交関係者の間では、韓米日3カ国で見解の相違がほぼない北朝鮮の核とミサイルに対する共同での対処を大義名分とし、安全保障協力のレベルを強化し、今後の韓日間の信頼と共通認識が十分に構築されれば、その対応の範囲は中国などにまで拡大されるとの見方も有力視されている。米国のエマニュエル駐日大使はFTの取材に「具体的な文言など交渉内容については話せない」としながらも「米国と同盟国は画期的な歩みをしている」とコメントした。

キム・ウンジュン記者、ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員

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