■世界唯一の長期・特別あつらえ安全保障保険」

 国連司の七つの後方基地は、米海軍の基地の中では海外最大となる第7艦隊の母港・横須賀をはじめ、日本本土にある横田空軍基地、佐世保海軍基地、キャンプ座間(陸軍基地)の4基地と、沖縄にある嘉手納空軍基地、普天間海兵隊基地、ホワイトビーチ海軍基地の3基地で構成される。横須賀には原子力空母をはじめイージス巡洋艦・駆逐艦などおよそ10隻が常時配備され、48時間以内に韓半島へ緊急出動できる。国連司軍事停戦委員会の首席代表として後方基地を見て回ったことのあるチャン・グァンヒョン予備役陸軍少将の著書『国連軍司令部インサイト』によると、佐世保海軍基地は韓半島に最も近い軍需支援基地で、弾薬およそ580万トン(ママ)、油類2億1100万ガロン(ママ)が備蓄されている。第7艦隊所属の艦艇およそ70隻が3カ月間使っても残るほどの膨大な量だ。沖縄の嘉手納基地には世界最強のF22ステルス戦闘機などが配備されていて、北朝鮮地域まで1-2時間以内に出撃できる。

 チャン・グァンヒョン氏は「国連司の後方基地がなければ、韓半島有事の際、戦争をきちんと遂行できない」とし「国連司は、国連がもっぱら韓国のために発売した、世界初かつ唯一の長期・特別あつらえ安全保障保険」だと語った。中立国監視委員会のスイス代表として数年の勤務経験があるウルス・ガーバー退役少将は2021年2月、ワシントンのCAPS(アジア太平洋戦略センター)で開かれたセミナーで「今後、地球上に国連司のような組織を再び作るのは事実上不可能」とし「停戦協定締結後、70年近く国連司が存続していること自体が、韓国にとっては本当に大きな幸運」と語った。一部では、今後平和協定が締結されて停戦体制が終わり、平和体制に入っても、国連司の名称と役割を変えて存続させるべきだという主張も浮上している。

■「国連司の韓国軍参謀の役割を拡大する必要あり」

 「国連司解体を主張する人々に、国連司の役割を代替し得る案が何なのかを尋ねたいです」

 韓国・国連司親善協会(KUFA)初代会長のアン・グァンチャン元軍事停戦委員会首席代表・予備役陸軍少将は7月26日、韓国政界および韓国社会の一部に存在する国連司解体論について、このように語った。アン会長は、国連司が解体された場合、平時に停戦管理のための南北軍事対話ルートがなくなり、戦争抑制機能を喪失する、と懸念した。また、日本にある七つの後方基地も設置根拠がなくなって維持が不可能になり、有事の際に戦争持続能力を提供する機能が消えるだろうと述べた。アン会長は「何より、韓半島で再び戦争が起きた際、国際的支援の根拠である国連レベルの集団防衛のための新たな国連安保理決議案採択は中ロの拒否権行使のせいで現実には不可能だろう」とし「シリア内戦やウクライナ戦争で世界平和のための国連の措置が取られていない状況が、このことをよく示してくれている」と強調した。

 アン会長は、国連司の未来に関連して「国連司の参謀が韓米連合司令部や在韓米軍の参謀を兼ねている現実を改善し、少なくとも国連司の企画と計画、軍需参謀は単一の職務を引き受ける形にすべき」とし「韓国軍の参謀も増やして役割を拡大する必要がある」と語った。

 アン会長は今年5月、予備役将官など社会の重鎮、各界の専門家らから成る非営利民間団体「韓国・国連司親善協会」を創立した。これまで韓米同盟に関連する友好協会は数多く存在していたが、国連司との親善を図る協会を非営利民間団体としてつくるのは初めてだ。アン会長は「韓国の重要な安全保障戦略資産である国連司に対する民間友好団体がない現実を残念に思い、協会を設立するに至った」とし「民間レベルで積極的に国連司を広報し、将兵らを激励する活動を行う」と語った。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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