▲イラスト=UTOIMAGE

 中国国営中央テレビ(CCTV)は1日から放映している軍事ドキュメンタリー8部作「逐夢」で中国の軍事力を誇示し、米国と台湾に警告のメッセージを送っている。映像では中国軍の空母「山東」が台湾海峡を通過する場面が初めて映し出された。また「ドローン部隊」など最新兵器も登場させ、中国が敵と戦う実戦能力を持つことも強調した。ドキュメンタリーは人民解放軍創設記念日の建軍節(1日)を迎え中国軍当局とCCTVが共同で制作した。

 ドキュメンタリーで最も注目される場面は山東と護衛艦による台湾海峡航行の様子だ。具体的な撮影時期は明かされず、字幕には「2023年 山東空母船団台湾海峡通過」とのみ表示されていた。台湾の軍事専門誌「亜太防務」の編集長は8日、香港中評社に「山東が台湾海峡で艦載機の離発着を初めて公開した。これは実戦能力をすでに確保したというメッセージだ」「山東は今年4月に初めて第1島鏈(れん)線(列島線)を通過し、遠洋に進出する海上訓練を行った。これは内部で『里程標』を立てたと評価しているようだ」などの見方を示した。

 台湾聯合報は6日のドキュメンタリーに登場した山東の台湾海峡航行の映像について「今年4月に米太平洋艦隊の空母ニミッツと対峙(たいじ)した時に撮影された」との見方を示した。これは「26機の外国戦闘機が接近し、妨害工作を展開した」と主張する映像内容に基づく主張だ。台湾聯合報は軍事専門家の話として「米中空母対決の場面を映し出すことで、中国は米国に見せしめを行ったと主張している」と指摘した。ドキュメンタリーの別の映像には空軍の空中給油機Y20と海軍艦載機J15による飛行中の再給油訓練も詳細に映し出された。

 編隊飛行を行うドローン、そして歩兵部隊と交信する大型ドローンなど新型兵器も紹介された。映像に登場した2機の大型ドローン「飛竜」は高度7000メートルで歩兵部隊と交信しながら偵察を行う。地上の攻撃目標が変更されれば空軍の有人戦闘機による爆撃を誘導できる。「蜂群」と名付けられた10機以上のドローン編隊は交信が中断した場合に自らシステムを修理し、信号を復旧する。歩兵が屋外で拡張現実(AR)システムによりドローンを遠隔操縦する様子も公開された。

 ドキュメンタリーに登場する兵士たちは、両岸(中国と台湾)の武力衝突を暗示する未来の戦争で「命をささげる」と述べた。海軍所属の水中作戦を担当する兵士は「戦争中に敵が設置した機雷の除去が難しい場合、命を懸けて上陸経路を開く」と述べた。ある空軍パイロットは「戦闘中に弾薬が切れれば、敵に向かって突進する最後のミサイルになる」と意欲を示した。

 中国が今回公開した軍事ドキュメンタリーは米中競争や両岸での緊張局面で一歩も引かない意志を示したと解釈されている。中国ロケット軍指導部の交代など落ち着かない雰囲気が続く中国軍の士気を高め、中国人の愛国主義を高める狙いもありそうだ。

北京=イ・ボルチャン特派員

ホーム TOP