「なでしこジャパン」の勢いが止まらない。「なでしこ」とは野に咲く花の名前を意味する日本語で、サッカー女子日本代表チームの愛称でもある。なでしこは「かれんでありながら強くてまっすぐな女性」を象徴するということから名付けられた。

 国際サッカー連盟(FIFA)ランキング11位のサッカー女子日本代表チームは「2023 FIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会」でまさに破竹の勢いだ。 今月5日、ノルウェー(世界ランキング12位)を3-1で下し、ベスト8入りを果たした。11日の準々決勝の相手はスウェーデン(同3位)だ。決して侮ることはできないが、勝機は十分あるとみられている。2011年W杯優勝に続き、2度目の世界制覇を狙う。予選から日本は「よく練られたサッカーを見られるのが楽しい」と賞賛されてきた。グループリーグではザンビア(同77位)を5-0、コスタリカ(同36位)を2-0、スペイン(同6位)を4-0で下した。ベスト16進出までの4試合で14得点・1失点。大会開始前の優勝候補予想で10位前後だった日本は、今や優勝候補1位になった。米スポーツ・メディアの専門家らの投票で5票を獲得し、イングランド(3票)、スウェーデン(2票)などを上回った。それだけ今大会では競技力が際立っているということだ。

 日本の女子サッカーの底力には長い歴史がある。1960-70年代から日本では学校や実業団の女子サッカーチームが地域対抗戦や小規模リーグなどを自主的に実施する「草の根サッカー」が行われてきた。1979年に日本女子サッカー連盟が設立され、その後、全国選手権などの大会を多数開催した。1979年に919人だった登録選手数は1989年に1万409人まで増えた。規模が拡大すると、三菱などの企業の後援も相次いだ。1989年に準プロリーグとして「日本女子サッカーリーグ」が発足し、その幅がさらに広がった。2001年に女子サッカー連盟を作った韓国とは根幹からして違う。

 1990年代の経済不況でしばらく支援が減ったものの、2000年代の経済回復と共にサッカー女子日本代表は再び「2030年までに女子W杯開催」「2015年までにW杯優勝」という具体的な目標を設定して動き出した。主な選手たちを海外に送り、経費を支援するエリート・プログラムを並行させ、2011年に本当にW杯優勝を果たした。当時、日本全国から年齢別に優秀な選手を選び、小さいころから男子チームと競わせて技を磨かせる練習も功を奏したという。その奇跡のような優勝で、日本には再び女子サッカーブームが巻き起こった。5ゴールを記録して今大会得点首位のFW宮澤ひなた=マイナビ仙台レディース=や、2ゴールを決めたFW植木理子=東京ヴェルディベレーザ=はいずれも1999年生まれで、2011年の「なでしこジャパン」神話を見てサッカーを始めた。

 日本はこれまで9回開催された女子W杯に全て出場している。初期はグループリーグ敗退が普通だったが、2011年に優勝、2015年に準優勝し、世界の強豪チームとして定着した。そうした中で2019年にベスト16で脱落して切歯腐心し、2021年には日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)を発足させ、選手たちがサッカーに専念できる環境を作った。「今大会の善戦はこのプロリーグの影響が大きい」と評されている。

 「なでしこジャパン」の強みはやはりしっかりとした組織力だ。司令塔は池田太監督(53)。 過去に年齢別代表チームを指揮した経験があり、選手一人一人に対する理解が深い。W杯の1年前から選手たちと話し合って3バック(DFラインが3人)戦術を構築するなど、コミュニケーションを盛んにとって戦力を最大化する一方で、「一つのチーム」を阻害する要素を最小限にする。今大会を前にAマッチ90試合で37ゴールを記録したベテランの岩渕真奈(30)を外したのには、そうした背景があった。池田監督は「チームの現状など複合的に考慮し、多様なシミュレーションをした」と語った。

 瞬発力のある戦術対応も得意だ。グループリーグでザンビアとコスタリカを相手にボール支配率の高い攻撃サッカーを展開した一方、強豪と言われるスペインと対戦した時は逆襲を中心にしたサッカーをした。スペイン戦のボール支配率は日本が21%、スペインが68%(中立11%)だった。「日本はまるで長い間一緒にプレーしてきたクラブチームのようだ」というのが相手チームの反応だ。

キム・ミンギ記者

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