尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日、今年で78回目を迎えた光復節の韓国政府式典で演説し、韓国における独立運動を「自由民主主義の国家建設を目指す建国運動」「自由・人権・法治などの価値を保障する国民主権国家建設を目指すという観点から、人類にとって普遍的かつ正義」との見方を示した。これは「独立運動の正当性が韓国にある」との認識と「北朝鮮の共産主義政権は独立運動の精神に正面から反する」との見方を同時に示したものと解釈できる。

 その一方で尹大統領は「共産全体主義に盲従し、捏造(ねつぞう)や扇動で自由民主主義をかく乱する脅威となっている勢力が今も横行している」と指摘した。さらに共産勢力が自由民主主義の大韓民国を侵略した6・25戦争当時、韓国を支援した国連軍参戦国、とりわけ国連軍の中心だった米国との強力な同盟関係も強調した。尹大統領は日本について「普遍的価値を共有し、共通の利益を追求する安保・経済の協力パートナーだ」と述べた。

 尹大統領は200字原稿用紙19枚からなる今回の演説で「独立運動の性格」「解放後の大韓民国建国」「北朝鮮による6・25南侵と米国など国連軍の参戦」「停戦後の韓米同盟を基盤とする産業化・民主化の成就」「自らが追求するグローバル中枢国家」「韓米日協力強化プロセスの意味」などに言及した。

 尹大統領はまず独立運動の性格を単なる主権の回復や朝鮮王政への回帰を目指すものではなく、「自由・人権・法治など人類普遍の価値を保障する自由民主主義の共和国建設を目指す建国運動」と説明した。これは「自由民主主義の国を目指してきた大韓民国に独立運動の正当性がある」との認識を示したもので、「北朝鮮の共産政権は今なお自由と人権を無視する全体主義」ということも同時に意味する。

 尹大統領は「共産主義に盲従」「捏造(ねつぞう)や扇動」「世論のわい曲」「社会のかく乱」など強い言葉を使い、その勢力を「反国家勢力」「全体主義勢力」などと批判した。尹大統領は「分断状況故に反国家勢力の蠢動(しゅんどう)は簡単にはなくならない」とした上で「共産全体主義勢力は常に民主主義活動家、人権活動家、進歩主義活動家になりすまし、虚偽の扇動と野卑(下品でいやらしいこと)で悖倫(はいりん、人の道に反すること)的な工作を常に行ってきた」とも批判した。「北朝鮮盲従勢力は大韓民国が保障する法的権利を悪用し、体制転覆を画策している」との認識を示したものだ。尹大統領は「共産全体主義勢力、その盲従・追従勢力に欺かれたり、屈服してはならない」とも訴えた。韓国大統領室の関係者は「自由民主主義体制に脅威となる勢力が存在する限り、独立運動と建国運動は今も進行形という認識が込められている」と説明した。

 尹大統領は今月18日に米国で開催される韓米日首脳会議について「3カ国協力の新たな里程標だ」と述べ、3カ国による協力の重要性を強調したが、これも同じ次元から解釈が可能だ。とりわけ尹大統領は日本について「普遍的価値を共有し、共同の利益を追求するパートナー」「安全保障と経済における協力パートナー」との認識を示した。昨年の光復節演説では日本について「力を合わせるべき隣国」と表現したが、今回はそこからさらに一歩踏み込んだ形だ。日本軍慰安婦や強制徴用問題など歴史問題には直接言及しなかったが、これは前政権で破綻状態となった韓日関係が正常化の流れに乗ったことを受け、さらなる未来志向の協力強化に焦点を合わせたい意向と解釈できる。このような認識には、有事に韓国防衛の拠点となる国連軍の7つの後方基地が日本にあることも背景にある。尹大統領は日本にある国連軍後方基地について「北朝鮮の南侵を遮断する最大の抑止要因」と述べた。

 尹大統領は昨年の光復節演説で語った「北朝鮮に対する大胆な構想」については「今も有効」としながらも、北朝鮮に新たな提案を示すのではなく「圧倒的な力による平和の構築」を訴えた。尹大統領は「北朝鮮の核とミサイルの脅威を根本から遮断するには、韓米日3カ国の緊密な偵察資産(兵器)協力や北朝鮮の核ミサイルに関する情報のリアルタイム共有が行われねばならない」とも述べた。尹大統領は就任直後から進めてきた北大西洋条約機構(NATO)との協力強化、政府開発援助(ODA)の拡大、ウクライナへの支援にも言及した。

 内政について尹大統領は「手抜き工事問題が相次いで発覚した建設分野など利権カルテル打破」「教権(教師としての権威・権力)保護」「研究・開発予算の山分け分配見直し」「キラー規制の撃破」「高等教育の革新」などにも引き続き意欲を示した。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

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