18日(現地時間)に米国大統領の別荘があるキャンプ・デービッドで開かれた韓米日首脳会議を巡り、外交・安全保障の専門家らは、米日同盟(1951年)、韓米同盟(1953年)という現在の北東アジアの安全保障体制の誕生以来、70年ぶりに登場した最大の変化だと評価した。世界経済の32%を占める3カ国の首脳が毎年会って軍事、外交から半導体供給に至るまで話し合う強力な経済・安全保障ブロックが誕生したという意味もある。北朝鮮の核など共同の脅威に直面しており、これまで安全保障と経済においては互いに依存しつつも戦争・植民支配の歴史などで複雑だった3カ国の関係が、新たな歴史的段階に入った。

 千英宇(チョン・ヨンウ)元韓国大統領府外交安保首席は「多国間会議ではなく韓米日首脳が別に集まって会議を開くこと自体初めてで、その意味は大きい」とした。その上で「3カ国の結束なしには韓国の対北政策も、米国のアジア政策も成功は難しい」「切迫した必要性にもかかわらず韓米日協力は各国の国内政治のせいで実現できずにいたが、数十年に一度あるかないかのチャンスがやって来た」と語った。魏聖洛(ウィ・ソンラク)元ロシア大使は「米国が数十年にわたり追求してきた韓米日協調を体系化するという点で、尹大統領の米国国賓訪問に劣らぬ外交的転換点」と述べた。3カ国協力の「弱い環」だった韓日関係を韓国が主導権を持って解決することにより、米国政界において韓国に対する不信を解消し、韓国の国際的地位が高まったという評価も出ている。

 専門家らは特に、3カ国首脳が年1回会うこととした点について「3カ国首脳の強い意思で関係が制度化され、安定性が高まるだろう」と評した。冷戦時代、「自由陣営対共産陣営」という構図と米国の調整の中で維持されてきた韓米日関係は、冷戦解体後、各国政府の性向と韓日間の歴史問題で浮沈に見舞われてきた。2000年代に入って米国は3カ国の次官補級の対北政策調整会議、国防次官補級の年次安全保障会議を開いたが、大きな成果は得られなかった。

 キム・ヒョンウク国立外交院教授は「従来の各協議体は議題が限定され、運営も不安定なものだったとすれば、今後はこれを高官級に格上げして安定的に運営したいという意味」と語った。朴元坤(パク・ウォンゴン)梨花女子大教授は「韓日関係が一時的に悪いときでも、3カ国会談という枠組みで会うことができ、トランプ大統領のように自国中心的な指導者が再び登場しても、制度化された同盟国と会うことを避けるのは難しいだろう」と語った。チェ・ウンミ峨山政策研究院研究委員は「韓米日協力の範囲が対北協調などローカル(地域的)イシューからグローバルな次元に拡大された点も注目される」とした。ただし、3カ国協力の議題が半導体、人工知能など先端分野に拡大されたことで、経済安全保障に関する米国の要求が増えたり、各論において各国の立場の差が生じたりすることもあり得る-という見方もある。

 専門家らは、軍事協力を強化している北朝鮮・中国・ロシアに対してキャンプ・デービッド会談は明らかな警告メッセージになるだろう、と予想した。韓米日3カ国がインド・太平洋地域での共同の脅威に対し直ちに協議を行うこととした点が代表的だ。北朝鮮の核・ミサイル攻撃、韓国の海上運送量の30%以上が通過する台湾海峡危機などが例に挙げられる。魏聖洛・元大使は「一加盟国に対する攻撃を全加盟国に対する攻撃とみなす北大西洋条約機構(NATO)レベルのものではないが、外部の脅威を3カ国が共同認識し、話し合うというのは、それ自体が(会談の)核心的な部分」と述べた。

 クアッド(QUAD:米日豪印)、オーカス(AUKUS:豪英米)など米国の他のインド・太平洋協力体系と比べても、韓米日協議体の重要性は高いという指摘も出ている。クアッドは、ロシア制裁の局面においてインドが非協力的で、海洋監視の役割にとどまっている。オーカスは、オーストラリアに対する原子力潜水艦の技術提供後は情報共有の役割にすぎない。キム・ヒョンウク教授は「キャンプ・デービッド会談後に稼働する韓米日チャンネルは、今後アジア・太平洋地域で米国が望む軍事安全保障協力の中心軸になるだろう」と語った。

 ただし、韓国の安全保障政策が相手の競争的対応を呼び起こすという「安保のジレンマ」に備えるべきだという指摘も出ている。魏聖洛・元大使は「ウクライナ戦争後、強化された朝中ロの軍事協力はさらに加速するだろう」とし、「外交・軍事を混ぜて即時に対応するロシアと、勢いを作ってどっしりと押してくる中国の共同脅威に備えなければならない」と語った。韓国で年末の韓中日首脳会議が進められており、日本は今年下半期に中国の高官級との接触を拡大するといわれる中、韓国もまた巧みな対中戦略を樹立しなければならないのだ。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は今回の首脳会談を前に、ブルームバーグ通信との書面インタビューで「拡大抑止(核の傘)に関連して、韓米日間の別途の協議についても開かれた立場を取っている」と語った。これについて大統領室は、今回の会談の議題ではないとし、韓米日協力強化が日本との軍事同盟につながるわけではないという立場だ。チェ・ウンミ研究委員は「韓日安全保障協力の緊密化については国民的懸念もあるだけに、国民に細かく説明する必要がある」と述べた。

パク・スチャン記者、盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者、キム・テジュン記者

ホーム TOP