韓米日首脳会議で「3カ国協議公約」が採択され、韓国と日本の安全保障協力のレベルがさらに高められた。これは韓半島有事において国連軍司令部の七つの後方基地(在日米軍基地)の役割が非常に大きいからだ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は国連軍司令部とその後方基地について「北朝鮮による南侵を遮断する最大の抑止力」としてその重要性を訴えたが、これも上記の事情が背景にあるからだ。

 国連軍司令部は1950年、6・25戦争が起こった直後に創設され、韓半島有事には国連安全保障理事会の決議なしに司令部に参加する17カ国の戦力を直ちに提供できるようになっている。米国をはじめとする参加国の兵力や装備などの戦力が韓国にやって来る際の拠点になるのが国連軍司令部後方基地だ。そのためこれらは有事に韓国の命綱とも言える存在になる。国連の対北朝鮮制裁が強化されたことを受け、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ドイツなど複数の国が艦艇や海上哨戒機、潜水艦などを韓半島周辺に派遣し、不法な荷物の積み替え(瀬取り)などを行う北朝鮮船舶を監視してきたが、これらの艦艇や航空機が燃料などの補給を受けているのも国連軍司令部後方基地だ。

 このように韓半島有事に非常に重要な役割を担う後方基地は米日協定に基づき日本の事前の同意なしに、事実上の通告だけで戦力の使用が可能になる。ただし日本領土内にあることから日本が便宜を提供しなければその機能を100%発揮することはできない。

 国連軍司令部の七つの後方基地は本土の横須賀(海軍)、横田(空軍)、キャンプ座間(陸軍)、佐世保(海軍)、沖縄の嘉手納(空軍)、ホワイトビーチ(海軍)、普天間(海兵隊)だ。横須賀には原子力空母をはじめイージス艦や駆逐艦など10隻以上の艦艇が常時配備されており、48時間以内に韓半島への緊急出動が可能だ。北朝鮮の核・ミサイルによる挑発など、韓半島の危機が高まるたびに韓半島に出動する米軍の原子力空母ロナルド・レーガンなど米第7艦隊所属の艦艇もここで待機している。

 米第5空軍司令部でもある横田空軍基地にはC130などの大型輸送機が配備されている。韓半島で非常事態が発生すれば、これらの輸送機が兵力や物資を韓半島に輸送し、米国人を日本に撤収させる任務を遂行する。佐世保の海軍基地は韓半島から最も近い軍需支援基地で、580万トン以上の弾薬、2億1100万ガロン(約7億9900万リットル)の燃料などが備蓄されている。米第7艦隊所属の70隻以上の艦艇が3カ月以上使っても余るほどの莫大(ばくだい)な量だ。ウクライナ戦争で弾薬などの補給の重要性が改めて認識されているが、そのため佐世保基地の戦略的重要性もさらに高まったと考えられる。沖縄の嘉手納基地は世界最強のF22ステルス戦闘機などが配備されており、有事に北朝鮮まで1-2時間もあれば出撃できる。

 沖縄の艦隊支援部隊が常駐するホワイトビーチ海軍基地は、韓半島有事に沖縄に駐留する米海兵隊の拠点となっている。沖縄に配備されている在日米軍第3海兵隊機動軍は韓半島有事に最も早く投入される大規模増援米力の一つだ。国連軍司令部軍事停戦委員会の首席代表として後方基地を見て回ったことのあるチャン・グァンヒョン予備役陸軍少将は「国連軍司令部後方基地がなければ韓半島有事にまともに戦争を続けることはできない」と指摘している。

 さらに韓半島有事に日本は国連軍司令部後方基地の提供以外に自衛隊の戦力も提供する。例えば韓半島に出撃する米軍艦隊の護衛や機雷除去、北朝鮮のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)潜水艦を探知する対潜水艦作戦などを担う可能性が高いという。日本の掃海(機雷除去)作戦、対潜水艦作戦能力は世界でも最高レベルと言われている。平時も北朝鮮による相次ぐミサイル挑発と関連するさまざまな情報収集で日本が必要になる。地球は球形のため北朝鮮ミサイルの弾着など下降時の情報収集は日本の方が韓国よりも有利だ。海上でのミサイル迎撃能力も日本は韓国を上回る。日本のイージス艦には韓国のイージス艦にない強力な最新型SM3迎撃ミサイルが配備されている。韓米日3カ国はミサイル警報や防衛訓練を何度か実施したが、迎撃を含む防衛訓練は韓国軍の能力が低いため、米国と日本が中心となって実施されてきた。最新型SM3ブロック2Aミサイルの最大射程距離は2500キロ、最大迎撃高度は1500キロに達する。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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