▲写真=NEWSIS

 日本の福島原発汚染水海洋放出問題を巡り太平洋に接する関係国の立場の違いが鮮明になっている。中国やロシアなどは反発しているが、一時反対の立場を明確にしていたフィジーやクック諸島など太平洋の島国は「懸念はあるが放出を受け入れる」として立場を見直した。海流の流れから汚染水が最初に到達する米国やカナダなど北米やシンガポール、マレーシアなど東南アジア諸国は特に反応を示していない。

 汚染水放出に強く反対しているのは中国とロシアだ。中国は22日、北京駐在の日本大使を呼んで放出に抗議した。中国外交部(省に相当)は「孫衛東・中国外交部副部長が垂秀夫・駐中国大使を呼んで強く抗議した」と発表した。孫副部長は日本の汚染水放出決定について「中国を含む周辺国と国際社会に対して公然と核汚染水のリスクを押し付け、地域と世界各国の民衆の福祉よりも自国の私利私欲を優先した」「非常に利己的で無責任だ」などと非難した。その上で孫副部長は「日本が他国の意見を聞かず、独断的に行動するのであれば、中国政府は必要な措置を取り、(中国の)海洋環境、食品安全、公衆保健を確実に守るだろう」と警告した。

 中国は日本産水産物の輸入規制を強化した。香港環境生態局の謝展寰局長(閣僚級)は22日「日本産水産物の輸入を禁止する」と発表した。輸入が禁止されるのは福島、東京、千葉、茨城、栃木、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の日本の10都県産水産物だ。全ての種類の魚や冷凍・冷蔵・乾燥水産物、海の塩、海藻加工品などが対象だ。香港はすでに東日本大震災(2011年3月)後の福島原発爆発事故直後から福島とその周辺5県産の農産物輸入を禁止してきたが、今回輸入禁止の対象を大幅に拡大した。

 香港の李家超行政長官は22日、ウェイボー(中国版SNS=交流サイト)に「日本の汚染水放出決定に強く反対する」「香港の食の安全と市民の健康を保証する」との考えを示した。中国本土でも先日から日本産水産物の輸入規制が全面的に強化された。先月以降、日本から輸入される水産物の放射能検査を強化したことを受け、日本産魚介類が中国の税関で足止めされる事態が相次いでいる。中国は昨年まで日本の水産物を最も多く輸入する国だった。香港環境生態局の謝展寰局長は23日「規制対象となる地域の水産物には放射能問題とその危険性があることを明確に認識すべきであり、これらの地域産水産物は香港に持ってこないよう提案する」と呼び掛け、日本旅行から帰国する際には日本から水産物を持ち込まないよう勧告している。

 中国とロシアは日本政府の放出決定について「科学的理由ではなく経済的理由で行われた」と非難してきた。両国は先月、日本側に「汚染水を蒸気とした上での大気中への放出」を検討するよう要求した。しかしこの提案について日本政府は「受け入れられない」との考えを伝えてきた。

 太平洋の島国は国際原子力機関(IAEA)が先月発表した調査結果を受け入れるという。18カ国からなる太平洋諸島フォーラム(PIF)の議長を務めるクック諸島のマーク・ブラウン首相は23日に声明を出し「日本政府による汚染水放出の決定はPIFと日本政府、並びにIAEAが28カ月以上かけて検討した末に出されたものだ」と説明した。ただしその一方で「全ての太平洋諸島の指導者が同じ考えではなく、太平洋諸島フォーラムとして一致した立場には到達できない可能性もある」とも明らかにした。各国で今も意見が一致していないことを認めた形だ。

 米国や欧州各国は放出を受け入れている。米国は「厳格な処理を経たと理解している」としてIAEAの検証結果を信頼する従来の立場を維持している。欧州連合(EU)は原発事故直後から行われてきた日本産水産物の輸入規制を今月3日に解除した。EU加盟国ではないノルウェーやアイスランドなども同じ日に輸入規制を撤廃した。米国は2021年、英国は2022年に福島県産食品に対する輸入規制を解除している。

キム・ナヨン記者、北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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