韓国の公共放送3社(KBS・MBC・YTN)による李東官(イ・ドングァン)放送通信委員長を巡る疑惑検証報道件数が韓相赫(ハン・サンヒョク)前委員長と比べて11倍に達したとの指摘が出ている。韓前委員長は文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2019年9月に就任し、今年5月まで委員長を務めた。李委員長は8月28日に就任した。

【比較】李東官候補と韓相赫候補に関する報道

 国会科学技術・情報放送通信委員会の与党幹事である国民の力の朴成重(パク・ソンジュン)議員によれば、公共放送3社は李委員長候補の人事聴聞会を3カ月後に控え、計67件の疑惑検証報道を放送した。疑惑検証報道は候補者指名発表など一般的な情報伝達を除いたニュースを集計したものだ。一方、韓前委員長の場合は、人事聴聞会直前の3カ月間に公営放送3社が行った疑惑検証報道は計6件だった。李委員長の疑惑報道が韓前委員長に比べ約11倍多かったことになる。

 両委員長とも候補者人事聴聞会を控え、いずれもメディア掌握論争、対抗陣営による任命反対の動き、脱税疑惑などが検証された。 韓前委員長は犯罪歴非公開と論文盗作疑惑が追加で指摘され、李委員長は子女の校内暴力論争と配偶者による人事請託疑惑が浮上した。

 聴聞会直前の3カ月間の各局による疑惑検証報道件数を比較すると、MBCは韓前委員長の疑惑を検証する報道を全く行わなかったのに対し、李委員長関連の疑惑は31件報じた。YTNは韓前委員長関連が1件、李委員長関連が16件。KBSは韓前委員長関連が5件、李委員長関連が20件だった。

 虚偽・歪曲(わいきょく)報道論争も起きた。朴議員によれば、KBSは李委員長の子女の校内暴力疑惑に関連し、当時の制度上、校内暴力対策自治委員会が存在しなかった点を黙殺し、「校内暴力を犯したが対策自治委が開かれなかった」という歪曲報道を行った。MBCは校内暴力関連報道で既に当事者が和解したことを伝えず、全国教職員労働組合(全教組)出身教師の発言だけを一方的に報道し、YTNも子女が転校という重い懲戒処分を受けたことを黙って受け入れた李委員長を「悪質なパワハラ苦情保護者」と決めつける報道を行った。

 YTNはまた、「李候補の説明が釈然としない」という内容を3日間にわたり2回も「独自報道」として伝え、MBCは「李候補が2カ月間沈黙した」という内容を1日おきに2回報道した。朴議員は「公共放送3社が中身のない報道を再三行い、スクープとして伝える件数を増やすことで、李候補を盲目的に攻撃した」と批判した。YTNは盆唐での凶器騒動の報道で背景に李委員長(当時候補)の写真を10秒間映し出し、論議を呼んだ。

 一方、公共放送3社は韓前委員長には異なる態度を見せた。韓前委員長はMBCの弁護士と放送文化振興財団理事を歴任しており、放送通信委設置法上不適格だという問題提起があったにもかかわらず、それをまともに検証しなかった。当時韓候補に対する各界の指名反対声明を報じず、論議を呼んだメディア掌握、論文盗作、財産・脱税疑惑についても大半が黙認したという。

 これは国民の税金で運営される公共放送としての公正性責務違反であり、特に放送審議に関する規定9条と12条にそれぞれ違反したと指摘されている。放送審議に関する規定9条2項は「放送は社会的争点や利害関係が鋭く対立した事案を扱う際、公正性と均衡性を維持しなければならず、関連当事者の意見をバランスよく反映しなければならない」と定めており、12条2項は「放送は政治問題を扱う場合、特定政党や政派の利益や立場に偏向してはならない」と定めている。

 朴議員は「公共放送3社の政治偏向は、傾いたグラウンドのレベルを超え、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と民主党の攻撃選手を直接務めたと言っても過言ではない」と批判。「親民主党勢力と談合した3社の言論カルテルをやめ、李委員長体制発足を受け入れるべきだ」と主張した。

ヤン・ジヘ記者

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